ストームグラスはあくまで「おもちゃ」
息子がこのような「ストームグラス」を父の日にプレゼントしてくれました。
ストームグラスの説明書には、天気予報ができる器具のように紹介されています。 そして、楽天のページなどを見ると、いろいろなものが販売されています。
→楽天市場のサイトでかわいいストームグラスを見つけてみませんか
説明書には、「17世紀頃から船乗りの間でマストに取り付けて気象の変化を見ていた … 」とあります。
しかしどうも、このストームグラスは、天気予報ができるというものではありません。
「気象の変化で瓶の中の結晶の様子が変わる商品」と考えておくと期待外れがないでしょう。
WEBで検索すると、きれいな結晶が天気とともに変化しているとの記事や写真がたくさんあります。
しかし、私がプレゼントしてもらったストームグラスは、説明書のような結晶状態の変化はほとんどなく、嵐でも晴れていても結晶や見え方は変化もしていない感じです。
また、中の薬品が多すぎるのか、もう一つ、変化が楽しめません。
そこで、ちょっと好奇心もあって、何かしてみたくなりました。
そこで、強く振ってみると、完全に透明部分が逆転して、変な状態になってしまいました。
強く振ったら変な状態になります
この状態は以前よりも悪くなってしまったので、温度で溶解度が変化するだろうと考えて、お湯で温めてみました。
すると、50℃ぐらいから結晶が消え初めて、70℃程度で完全に透明な液体になりました。
温めると、結晶が消えた
それをそのまま室温中に放置しておきました。
すると、（商品見本に載っているようなきれいな結晶ではありませんが）下の写真のように、日によってほんの少しですが、結晶化して変化していくようになりました。
もしも結晶の状態が良くない場合には、急激な温度変化に注意して、ゆっくりと温めてみると、結晶化の反応の具合が変わるでしょう。 試してみてください。
しかしそれでも、説明書のとおりに、天候によって変わることはないようです。
これについては、どの結晶の状態が「いい状態」なのかよくわかりませんから、試す場合は自己責任でお願いします。
温めることで変化が出たことで、気温（温度）で中の薬品の溶解度が変化するような感じです。
下の説明にある、晴雨による気圧差や風量は関係していない感じがします。
説明書の解説を読んでもよくわかりません
①液体が澄んでいれば晴れ
②小さな星の混じった濁った液体で、上に結晶があったら曇りで、しばしば雷雨の予想も
③液体に小さな点が混じっていたら湿度が高いか霧の天候
④フレーク状の大きな結晶は曇天か冬には雪
⑤上に糸状の結晶があれば、風が強い天候
⑥底に結晶があれば、霜が降るかもしれない
などとあります。
しかし、私の製品では、結晶のでき方の変化はわずかです。
ほとんどの状態が底の結晶が溜まった状態で、羽毛状の結晶の長さが少し変化する程度です。
どうも、この説明書の記述と実際の天気は全く合致していません。（家の中ですから、霧、雪、霜などはわかりませんが … ）
結晶化の度合いは温度の影響のような気がします
結晶の量や出来かたを見ると、夏の温度の高いときには澄んだ液体の量が多くて、寒くなるにつれて、白い結晶部分が増える感じ程度の変化です。
だから、温度変化によって溶解度や結晶化のタイミングで結晶の形が変わっている感じがします。
説明書にある、「液中に星が混じったり、小さな点が色んな所にできる・・・」という表現はよくわかりません。
しかし、羽毛状の結晶はとてもきれいで、たしかにその形は変化しています。
外観（容器や形状）もインテリアになるように考えられています。
下の写真のように、割れたガリレオ温度計を再生した（→こちらに記事）自作のガリレオ温度計と合わせて窓辺においていて、これらが部屋の飾りになっています。
もちろん、大人用のおもちゃという程度のものと思って眺めています。
WEBをみると、いろいろな変わったものも販売されているので、探してみると楽しめるものが見つかるかもしれませんね。
 |
|
茶谷産業 温度計・湿度計 ベージュ 高さ14.5×幅17.5×奥行6cm 新品価格 |
ストームグラスを自作したところが、出来栄えはイマイチ
好奇心から、ストームグラスを自作してみました。
WEBには、ストームグラスの自作のためのレシピがいくつか掲載されています。
そこで、手に入りそうな薬品類を用いた作り方を探したところ、樟脳10ｇ＋硝酸カリウム2.5ｇ＋塩化アンモニウム2.5ｇを50％エタノール70ｇで溶かす … という記事がありました。
エタノール、樟脳、精製水はドラッグストアで購入できます。 そして、硝酸アンモニウムは100均で販売されている冷却パックを使い、塩化カリウムは塩化ナトリウムとの混合塩が販売されているので、それらに代替えして自作のストームグラスを作ってみました。
アレンジしすぎなのか、結論を言うと、完璧なものはできませんでした。
でも、結晶化する様子は見れますので、記事を残しておきます。参考に。
上のレシピの分量の2倍程度の量になるように混合液を作りました。
樟脳25ｇ
硝酸アンモニウム5ｇ
塩化カリウム（＋塩化ナトリウムの減塩しお）20ｇ
無水エタノール80ｍｌ＋蒸留水60ｍｌ
を用意して、それらを50℃程度の温度で溶かします。
図書館で読んだ本に「実際使われていたストームグラスは、天然の材料を使っていたので、純度も適当だった … 」という記事があったので、「減塩しお」を倍増して 20ｇ にしました。
できた結果はイマイチですが
室温が15℃くらいのときは、数日間は結晶ができませんでした。
しかし、朝の気温が10℃以下に冷え込んでくると、どんどん結晶が大きくなって、写真のような樹枝状結晶ができました。
この結晶の形をみると、「樟脳」の結晶が主役の感じがします。
また、写真のように「2層」になってしまいました。 これはどうも、余分な塩化ナトリウムが入っている「減塩しお」を使ったためのような気もします。
また、容器のふたが不完全なので、自然にネジの部分から薬品が染み出します。
ここで使っている薬品類はほとんど無害の成分ですが、やはり薬品類ですので、密閉して漏れないようにしたほうが安全でしょう。
この状態でも楽しめますが・・・
ここでは、上層と下層では、違う感じの結晶ができています。
そして、朝夕でも、温度の変化があれば、結晶の量や形が変わったりするので、結構面白いものです。
また、ちょっと振ってやると、結晶の出方が変わるのが確認できます。
WEB記事には、「標準レシピで、純度の良い薬品を使って作るほうがうまくいきそう … 」という記事があります。 そして、圧力を変えてその時の変化を試している方もおられます。
しかし、それらの記事の結果や内容もまちまちですから、これに手を加えずに、このままにしていて眺めています。
結晶の状態については、（私の感じですが） 圧力の影響での結晶量の変化はほとんどありませんから、どうも、船の上でボトルが揺られる状況と温度の変化が結晶変化に関係しているのかもしれません。
ゆっくり振ってみると、結晶形状に変化が出るます。 しかし、振ればいいというものでもなさそうですから、上の説明文のように、細かい気象と関連付けるのはどうかなぁ … と言う感じです。
市販品はインテリアにマッチするように作られています
実験好きの人は、自作品のレシピに加えて、結晶化しやすそうなミョウバンなどの他の薬品を加えて溶解度を変化させてみるのもいいかもしれません。
そして、冷却して過冷却状態にしてみるなどを試してみて遊ぶと面白いかもしれません。
ただ、液が漏れて周りを汚すかもしれないので、そうなると家中から罵声が聞こえそうです。
だから、ともかくこの状態で変化を眺めるだけにしています。もちろん、プレゼントするのは無理でしょう。
でも、WEBなどで販売されているストームグラスは可愛らしいデザインのものも多くあって、ちょっとしたインテリア小物として部屋のアクセントになること間違いなしです。
私も、プレゼントされていい気分になったのですが、プレゼントされると気に入ってもらえるでしょうから、ぜひ父の日のプレゼント用などでチェックしてみてください。
（来歴）R5.2月に誤字脱字を見直し R7年10月に確認
