電池の材料として知られるマンガン (p.11)

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「マンガン」と聞くと、マンガン電池マンガン団塊が頭に浮かぶ人が多いと思います。また、「二酸化マンガン」という言葉を覚えている方も多いでしょう。

マンガンはMnと表記される、原子番号25の元素で、単体では比重7.2程度ですが、単体では産出しないのですが、小中学校で、二酸化マンガンの黒い粉を触媒として過酸化水素水をかけると酸素ガスを発生させる実験や、理科の時間に乾電池を作った・・・という、比較的馴染みのある元素かもしれません。

このマンガンは、鉄鋼の焼入れ性を高める元素として重要で、多くの鉄鋼は、マンガンが0.3~0.5(重量%)程度をふくむ鋼種が多く、ほとんどの焼入れして硬化する鋼種に含まれています。

少し特殊なものでは、マンガン鋳鋼という、全体的には柔らかいのに、切削加工ができない、土砂摩耗に強い鋳物の主な合金成分になるなどの用途があります。

マンガン電池とアルカリ電池

マンガン電池

これらの電池にはどちらにも、プラス極に「二酸化マンガン」マイナス極に「亜鉛」を使っている、非常にポピュラーな電池で、電解液が異なるので、このように呼び方が異なっています。

マンガン電池の電解液は塩化亜鉛や塩化アンモニウムですが、アルカリ電池は、強アルカリの水酸化カリウムが使われています。

注意しないといけない液漏れ

乾電池の液漏れは、使用してから長期間放置している場合に起こりやすいのですが、その原因は、電池内部で電気分解の際に生じたガスが膨張して電解液が漏れ出すということが多いようです。

乾電池の液漏れに対しては、近年の製品はかなり改善されています。しかし、いずれの場合も、使わないで、器具に取り付けたまま長期間放置しないようにしましょう。

また、特に、アルカリ電池の液漏れ品は器具を傷めるばかりでなく、アルカリ液は危険ですので、直ちに電池を交換するようにして、器具につけたままにしないように気を付けましょう。

マンガン電池・アルカリ電池のいずれについても、大電流で使用すると、内部でガスが発生して液漏れしやすくなるので、ショートさせるなどで大電流を流すのはよくありません。

そして、液漏れによって器具本体が損傷しないように、定期的にチェックして、接点部に異常があればすぐに交換するようにします。

どちらにも長短所が・・・

アルカリ電池は「強くて長持ち」ですし、使用中の電圧降下が少ないということから、近年はマンガン電池よりもアルカリ電池が主流になりました。

しかし、アルカリ電池は、使わなくても自己放電と水素ガスが発生するのが欠点で、思ったほど寿命が延びないというケースも出てきます。使わなくて長期間たったものの性能は低下している場合があることを知っておくといいでしょう。

それに対して、マンガン電池は、いったん使って、そのまま休めると電圧が回復するという特徴があります。

これは大きな特徴です。このために、用途で使い分けるとよく、大電力品はアルカリ乾電池、小電力品や間欠で使用するものはマンガン乾電池というように、使い分けることも大切で、何か、マンガン電池よりもアルカリ電池がすぐれているというイメージが強いのですが、これは覚えておくといいでしょう。

安価なアルカリ電池が販売されています。しばしば、一流メーカー品と100円ショップの電池の優劣(寿命やパワー)などについての議論を聞くこともありますが、私自身はもっぱら100均派です。

極限を求めるならば、高級なものを使用すればいいですが、音楽プレーヤーやモーター類で使用しても、気になるほど短寿命ではありません。

むしろ、古いものは自己放電で寿命低下しているので、回転のいい(よく売れている)お店で購入して、早く使い切るようにするほうが「お徳」と考えています。

マンガン電池のランク

マンガン電池については、高性能の「黒マンガン電池」と、高出力の「赤マンガン電池」があるのをご存知だと思うのですが、規格では、その他に「緑」や「青」があります。

しかし、マンガン電池からアルカリ電池への移行が進んだことで、平成20年以降はマンガン電池の国内生産品はなくなってしまっており、表示は国内メーカーのものであっても、すべて輸入品ということになってしまいました。

このため、かつては販売されていた「緑マンガンや青マンガン電池」はほとんど見ることがありません。

赤に比べて黒のほうが高寿命品というランクですが、これも、気にするほどのこともないと考えていいようです。

つまり、「赤」は欧米での最高ランク品ですが、「黒」は日本のJISだけに規定されている「赤以上の品質」のものというものです。

そうは言うものの、もしも大電力がほしければアルカリ電池を使ったほうがいいので、「赤・黒」にこだわらないで、安いものをうまく使うようにするといいと思います。

電池の種類が多いので注意

「乾電池」は1次電池に分類されるもので、酸化銀電池、水銀電池、リチウム電池などの種類があって、基本的には、使い切りのもので、充電して使用するものではありません。

充電して使用できる電池は「2次電池」に分類され、例えば、エネループなどの商品名のニッケル水素電池や大電力で高性能なリチウムイオン電池などがあります。

これらは、マンガン乾電池などとは、出力電圧が違います。(マンガン電池やアルカリ電池は1.5V-1.6V程度ですが、その他はそれより低いか高いので注意します)

充電についても、それぞれの専用器具を使うことなどの制約や注意点があります。

例えば、ニッケル水素乾電池は電圧が1.2Vですので、ここで説明しているマンガン・アルカリ乾電池とは別物として考えます。同じ用途に使えません。

電池の種類を混同するのも危険です。混同して仕様すると、電圧や内部抵抗の違いで発熱したり、液漏れや爆発などの原因になりますので、充分に注意ください。

マンガン電池もアルカリ電池も1.5V以上の電圧ですが、1.3V程度に低下すると動かないように機器側でリミットがかかるものもあります。

これも考えて、定電圧用途のアルカリ電池か、回復するマンガン電池かを選ぶとよいでしょう。

充電はそんなにメリットがない?

マンガン電池やアルカリ電池を充電したという方もおられるでしょう。それらを充電すると蓄電量が増加するのは確かです。

しかし、かなり充電時に発熱していたと思います。本来これらは「1次電池」ですので、充電しても回復効果が低く、また、本来は充電するものではないことを知っておく必要があります。

アルカリ乾電池用の充電器として販売されている充電器があります。

これは、パルス式充電という方法によって、充電時の液漏れの危険性を低減していますが、使った経験がある方もおられると思いますが、結構充電中に発熱する上に、電圧も気休め程度しか回復せず、思ったほど充電ができていなかったのではないでしょうか。

全く電圧が回復しないのもあったと思いますし、考えると、放置すると危険ですので、維持電池の充電はしてはいけないと考えておいてください。

充電中に液漏れの危険性があります。普通の乾電池類を充電すると、内部でガスが発生して、て膨張したり液漏れを生じることも多く、このようなものを使うと器具を損傷しますので、使わないようにしなければいけません。

これらとは別に「充電式アルカリ電池」というものがあります。

現在は見ることが殆ど無いかもしれませんが、これは1.5Vで自己放電が少ないECO製品です。先のリチウムイオンやニッケル水素電池の普及もあって、日本ではあまり普及していません。

何回も書いていますが、非常に電池の種類が多くなっていますし、大容量になっています。電池は化学反応によって電気を取り出す、とても便利なものですが、どのような電池でも、それぞれに合った使用法を知って安全に使用しなければいけないことを記憶ください。

マンガン団塊

マンガン団塊(海洋開発機構のHPより引用:丸いのがマンガン団塊)

平成22年に南鳥島沖で、潜水船「しんかい」がマンガン団塊(マンガンノジュールという)を発見したというニュースが飛び込んだ時には、資源の少ない日本にとっての朗報だったという記憶があります。

これについては、現在もJOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)などで調査がすすめられています。

このニュースのマンガン団塊とは、上の写真のような、直径が10cm程度以下の球形の堆積物がハワイ沖の公海の海底で発見されて、その調査がされているのですが、これは、鉄やマンガンが凝縮されて徐々に成長したもののようで、この中には、その他の金属やレアアースなども含まれている・・・ということもあって、これからの調査や採掘の期待がされています。

ハワイ沖にかけての深海に分布しているようで、マンガンだけでなく、ニッケル、コバルト、銅などが含まれており、この事も含めて今後の開発が待たれていますが、発見場所は公海上ですので、日本以外に多くの国が鉱区取得に動いており、これからの動向も気になるところです。

鉄鋼におけるマンガンの重要性

鉄と炭素の合金を「鋼(はがね)・鉄鋼」と言いますが、鋼は熱処理によって硬さを変化させることができることから、幅広い用途に使用されています。

鉄に炭素が溶け込んだものを鋼(はがね)と言い、この炭素量が増えると、熱処理によって硬さが高くなる(これを「焼入れ」といいます)などで様々な性質を持った製品になっていますが、品物が大きくなってくると、焼入れ時の冷却速度が遅くなって、内部の硬さが出にくくなります。

それには、「焼入れ性を向上させる合金元素」を加えることで改善されますが、その元素の筆頭がマンガンです。(その他には、焼入れ性を向上させる元素には、クロム、モリブデン、ニッケルなどがあります)

鋼製品では、マンガンの含有量を多くしすぎると、もろくなったり硬さが出なくなるという欠点も出るので、通常の鋼では0.5~1%程度までのものが多く、モリブデン、クロム、シリコン、ニッケルなどの元素を調整しながら、様々な特徴を持った高品質の鋼がたくさん製造されています。

鋼に含まれる炭素量を増やして2%以上になると、鋼中に炭素が溶け込まなくなって「鋳物」と言われる鉄と炭素の合金になります。これは、鋼よりも融点が低いので、それを加熱して溶融し、鋳型に流し込むことで複雑な形状の品物を作ることができます。

さらに鋼と鋳物の性質を持たせた「鋳鋼」という種類も製造されていますが、マンガンは、それぞれにその性質を調整するために配合されています。

特殊なものとしては、マンガンを10%以上含有させると、例えば、採掘工事用部品のように、全体は柔らかく割れにくいもので、採掘時の石と摩擦すると、表面が非常に硬くなって耐摩耗性のある部品になるという特殊な性質を持った鋼が生まれます。ハイマン鋳鋼やハイマンガン鋳鋼などと呼ばれています。

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その他の記事

 夢の素材チタン (p10)    鉄鋼で重要な合金元素 クロム(p8)
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