アルミニウム(原子番号13)元素記号:Al
英語では Aluminium で米語では Aluminum です。
広辞苑には煮炊き、漬物、薬などで使われるミョウバン(明礬)のラテン語の「alumen」が語源とあります。
これは、紀元前から使われていました。
しかしアルミニウムの現在のような製造は20世紀になってからです。
作り方は、原料のボーキサイト鉱石からアルミナを作り、それを電気分解します。
日本語ではアルミニウムまたはアルミニュームと書かれます。
「アルミ」でも通じますね。
「軽銀」という呼び方もあるのですが、私はこの呼び方を見聞きしたことがありません。
ここでは、アルミニウムとしています。
明治生まれだった私の父が、竹ひご製模型飛行機の翼のジョイント用のアルミパイプを「ニューム管」と言っていたのを、なぜか覚えています。
Amazonではこのような2000円までのゴム動力飛行機がたくさん販売されています。
軽さと熱・電気の伝導性の良さ
アルミニウムの特徴は、「軽い」「良好な熱・電気の伝導性」です。
そして、ジュラルミンと呼ばれる、アルミ、銅、マグネシウム合金が有名です。
また、アルマイト処理、メッキ、電着塗装 などの表面加工で、いろいろの色や特徴のあるアルミ製品が生まれています。
現在は、アルミ製品の使用量は鉄鋼の次に多い金属です。
だからアルミの話題も多い
アルミニウムは話題の多い金属です。下で紹介しています。
ここでは、幅広く話題を集めただけですが、それでも、結構な文字数になりました。
もっともっと興味のある方は、書籍も販売されています。
![]() |
|
新品価格 |
![]()
アルミニウムの特性比較表
下表に、理科年表から特性値をピックアップしました。
数字は比較しやすいように単位や測定条件はありませんが、後で少し補足しています。

正確な数字を知りたい方や興味ある方は、理科年表をご覧ください。
この1冊には知識が詰まっていて、数字好きには便利ですよ。
|
価格:1650円 |
この表のジュラルミンは、アルミ、銅、マグネシウムなどの合金です。
密度
単位体積あたりの重さ(g/cm³)です。
比重(水に対する重さ:単位は無し)としてもいいでしょう。
アルミニウムの密度は、鉄鋼と比べると、「超軽い」ことがわかります。
リチウム(0.5で水よりも軽い)には及びませんが、比重は2.7です。
鉄は7.8、銅が9.0ですので、それらの1/3程度重さで、さらに柔らかいのが特徴です。
このように、1円玉が水に浮いている写真を見ることがありますね。

水の比重は1なので、表面張力によって浮いている状態です。
だから、この表面に洗剤を垂らすと、比重2.7の1円玉はたちどころに沈んでしまいます。 やってみると手品みたいで面白いですよ。
その他の金属の密度(単位:g/cm³)では、大きいのがタングステン の19.3 です。
小さい金属は、リチウム 0.5、マグネシウム 1.7などです。
ヤング率
力を加えたときの伸びやすさと変形度合いを示すものです。
これが高いほど変形しにくく、変形量が少ないという、材料特有の数値です。
その他の金属類でヤング率の高い材料はタングステンカーバイド です。
切削工具などの超硬合金の材料で、534Gpa 程度の数字です。
引張強さ
強さを表し、大きいほうが強いと言えます。
「強いものは硬い」ということですが、アルミニウムは、特に、優位性はありません。
しかし、合金では、現在では軟鋼を超える強さのあるジュラルミンがあります。
引張強さの高い材料には、マルエージング鋼 で2403Mp程度のものがあります。
伸び
伸展性は「金」が高いのですが、伸びは、引きちぎれるまでの変形度の大きさを示しています。
伸びの大きな材料では 工業用純鉄 があり、60%程度の値です。
これが大きいと「じん性(粘り強さ)」が高いと言えます。
この「伸び」が大きければ、変形したときに切れにくいということです。
電気抵抗
金属の中で電気を最もよく通すのは銀です。1.6 Ω・m程度の値です。
次に、銅、金、アルミニウム、マグネシウム の順になっています。
わかりやすいように銀、銅、アルミ、鉄の電気伝導度を、銀の電気抵抗値を1とすると、銅は1.05でほとんど変わらないのですが、アルミニウムは1.8で、鉄は6.3です。
その他
線膨張率(図の単位は×10⁻⁶/℃)は、温度に対する伸び縮みのしやすさで、線膨張率が高い物質ではポリエチレン・ポリスチレン などで200程度です。
熱伝導率(単位:W/m·K)は熱の伝わりやすさを表しています。これが高いのは、やはり銀です。
音速は、1秒あたりの音の伝えやすさ(単位: m/s )で、優れている金属はベリリウム で、12890という値です。
LPレコードが全盛の頃の、先端のダイヤモンド針を支える棒(カンチレバー)に音速の高い材料が使われていて、ベリリュームやアルミカンチレバー、最終的には、ルビーのピックアップは「音が良い」とPRされていて、高価でしたが使った記憶があります。
過去には「酸に弱い」という評価だった
アルミニウムは酸に弱いとの評価があります。
そのために、過去には、腐食対策で「アルマイト」加工する … と習いました。
そして、子供の頃には、腐食して穴の空いた「ヤカン」があちこちに転がっていたイメージがあります。
しかし、近年では、腐食しやすいのは、純度が低いためだったということがわかっています。
現在のアルミニウム製品は純度や品質が良くなり、薄いアルミホイルでも腐食しにくくなっています。
むしろ、きれいな表面に仕上げられたアルミニウム(アルミホイルの面など)は、酸素と化合して、耐食性のある状態になっているといいます。
アルミニウムの表面に、色々な表面処理加工をするとさらに腐食には強くなります。
だから、「腐食しやすい」というアルミニウムのイメージは過去のものです。
日本ではアルミ地金は製造されていない
日本ではアルミニウム地金は作られていません。
精錬コスト(地金を作るコスト)が高すぎて、採算が取れないのです。
つまり、輸入品とリサイクル品で日本のアルミ業界は支えられています。
アルミニウムはボーキサイトから製造される
アルミニウムは、地殻中にアルミの珪酸塩として大量に存在します。
しかし、回収効率の問題から、ボーキサイトbauxiteからアルミ地金が作られています。

これは、WEBにあったボーキサイト鉱山の写真です。
ボーキサイトは、酸化アルミニウム(アルミナ)を55%程度含む「水酸化アルミニウム鉱物の混合物」です。
上の写真のような赤い色をしているものが多く、「ボーキサイト」という単体の鉱物ではありません。
「バイヤー法」でアルミナを作る
このボーキサイトから、不純物の二酸化ケイ素や酸化鉄を除くために、高温加圧状態で濃水酸化ナトリウムに浸して、アルミン酸ナトリウムにします。
そこから、水酸化アルミニウムを分離して、さらに焼成すると、アルミナ(酸化アルミニウム)になります。
アルミナは酸化アルミニウムの一種の白色粉末です。
非常に硬く、研磨剤やセラミックスの材料となります。
「ホール・エルー法」でアルミ地金を作る
そのアルミナに5%の氷晶石を混ぜて、炭素電極を陽極にして溶融塩電解すると、陰極にアルミニウムができます。
この時に非常に電気を消費します。
アルミの製造は比較的新しい
現在の改良型製造法の発明発見が1920年と、意外と新しいことに驚かされます。
私が大学で金属工学を勉強し始めた1970年に、(古いですね)大阪のUSJに近くのアルミの精錬工場を見学したときには、まだ日本でのアルミ精錬が行われていました。
工場の溶解炉の回りに、白い粉(アルミナ)が盛り上げられて、電解作業をしていました。(1995年以降の国内製造はありません)
原料石のボーキサイトの産出国は、オーストラリア(35%)中国(14%)ブラジル(11%)などで、ギニア、ジャマイカ … と続きます。
アルミの地金の輸入先は、オーストラリア46万トンが最大です。
つぎに、UAE(33万)、ロシア(24万)などです。
この輸入は、「開発輸入」と呼ばれる特殊な契約方法で広範囲から輸入されています。
日本の企業が現地企業に資本参加して地金製品の輸入権を獲得するやり方です。
2020年度の例では、148万トンの量を輸入しています。
その地金を使って、366万トンのアルミ関連製品が作られています。
この数字の差は、国内では、リサイクルなどの再生地金が122万トンあるということです。
アルミ製品の用途の40%は輸送用機械部品でアルミ缶は11%

アルミ製品 では、先ほどの数字の366万トンの、約40%が輸送用機械部品等です。
輸送用機械部品等とは、自動車、鉄道車両、自転車、航空機製造用などです。
その他では、サッシなどの建築用は14%、アルミ缶などの食品関係は11%程度です。
先の「大阪万博」のあった1970年頃は、125万トン/年の生産量でした。
それが、1990年頃から350万トンを超え、それ以降は増加していません。
2020年度も366万トンと、過去最大でも450万トンは超えていません。
鉄鋼の国内粗鋼生産量は中国に世界の座を奪われてからでも、約1億トン前後で推移していますので、鉄鋼とアルミでは、22:1 と、かなり需要の差があるということですね。
ただ、アルミニウムの比重が鉄鋼の約1/3ですから、体積にすれば鉄鋼の1/7~1/8程度になって、かなりの量ということになります。
しかしこれでも、まだまだ鉄鋼需要にはおよびません。
アルミニウムは鉄鋼についで2番めに使用量の多い金属です。
アルミ缶のリサイクル率は高いがアルミ全体のリサイクル率は低い
この需要と原料(地金)高の克服に、リサイクルの仕組みがうまく機能しています。
アルミ製品のリサイクル現在は、アルミ缶がスチール缶を上回る生産量になっています。そして、それらのアルミ缶類の約90%以上がリサイクルされています。
ちなみに、2018年のデータですが、リサイクル率は、スチール缶91%、アルミ缶94%、ガラス瓶69%、ペットボトル85%です。
かなり食品部門のリサイクルが進んでいます。
しかし、アルミニウム全体のリサイクル率といえば、50%を少し超える程度です。
つまり、アルミ缶以外のアルミ製品の回収率はそんなに良くない状況です。
アルミを缶を廃品回収して収入を得ようとすると
巷には、アルミ缶を回収して、古物商に売り渡す人を見かけます。
アルミ缶のリサイクル引き取り価格を1キロ75円程度とすると、アルミ缶を集めて売却して1,000円を儲けようとすると、13.3kgも空き缶を集めなければなりません。
アルミ缶350ml用の重さは、軽く、薄くなってきており、現在のところ1個あたり15g程度ですので、1個で1円少しですね。
これは、鉄スクラップの20円/kgと比べると、アルミスクラップはかなり高価です。
それでもアルミ缶を約900個集めないと1,000円にはなりません。
簡単には儲かりませんね。
高圧電線は現在はアルミ製が主流
アルミニウムは、銅や銀より電気抵抗が高いものの、安くて軽いことが特徴です。
電気抵抗が高いと、電流の熱作用によるエネルギー損失や発熱の危険があります。
それは電線を太くすることで電気抵抗が下がるので、太くするのが有効です。
そこで、太くして、銅の単体線よりも、送電効率の良い「アルミ電線」が作られます。
現在では、大半の高圧線の電線は今や銅製ではなくてアルミ製になっています。

この写真のような高圧電線には「鋼芯アルミより線」が使われています。
これは、中心に亜鉛メッキをした強い鋼線が入っています。
その鋼線が全体の強度を支えており、その周りにアルミ線をより合わせてあります。
電気抵抗が銅の1.8倍でも、比重(密度)が3割程度です。
そこで、太くして高電力を送れるようにしています。
また、ここでは、銅とアルミの価格差も重要です。
価格は変動しますが、2020年の年間平均価格はアルミニウム1700ドル/トンに対して銅は6200ドル/トン程度です。
この場合は3.6倍の価格の開きがあるのですが、それでも、価格的にメリットが出ます。
また、実際には、全体的には電気抵抗が銅の半分程度なっています。
つまり、アルミ電線は優れていて、「電線は銅」という常識は当てはまりません。
胃腸薬にもアルミが
水酸化アルミニウムは制酸材として、胃薬になっています。
胃潰瘍の薬スクラルファートがあります。
これは、アルミニウムイオンがタンパク質とくっついて胃壁を守る効用があります。
しかし、薬と毒は表裏一体です。
アルミニウムが過剰に体内に取り込まれると、骨や筋肉に異常が出ます。
また、アルミニウム塩類は酸・アルカリに溶けやすいので、酸性雨などで生態系に影響があるとされます。
何よりも、大量摂取は健康への懸念もあります。 しかし、胃薬として使用する程度では問題はありません。
アルミの関係する宝石 コランダム、サファイヤ、ルビー
酸化アルミニウムの結晶からなる鉱物に鋼玉(こうぎょく:コランダム)があります。
非常に硬い無色透明の結晶からなる鉱物です。

Amazonのページにあるコランダムの原石をみると2000円以下で販売
![]()
コランダムのモースの硬度(10段階で鉱物の硬さを評価する方法)は、「9のランク」。
ダイヤモンド(硬度10)に次ぐ硬さがあります。
純度の高くない、低級のコランダムの粉は、研磨用の道具として用いられます。
耐水紙や布に貼り付けて、ヤスリ(サンドぺーパー、エメリー紙)が作られています。
コランダムで、純度の高区、美しいものが「宝石」に加工されます。
ほとんどの自然の鋼玉は、そんなに美しい状態ではありません。
鋼玉に、不純物の金属イオンのクロム(Crが1%以下)が入ると、赤いルビーになり、鉄(Fe)やチタン(Ti)が入ると、青色のサファイアになります。
もちろんその分量%によっても、宝石になるかならないかが決まります。
たとえば、クロムが多くても少なくても、ルビーの価値が下がってしまいます。
そうなると、工業用の研磨剤にしか使えないようになってしまいます。
だから、なおさら、美しい色の鉱石は希少です。
もちろん、熱処理によって色を変えたり、人工に作ることも行われています。
宝石の熱処理について、こちらに簡単に紹介しています。
ルビーレーザー
ルビーは「ルビーレーザー」で工業的な用途に利用されています。
その中に含まれる3価クロムイオンを利用して赤色単色光にして用いられます。
高強度アルミ「ジュラルミン」

アルミニウムは柔らかく展延性に富む金属です。
1900年代の初めに、偶然に、銅を少し混ぜて、軽量で破断に強いものが発見されました。
また、長時間放置しておくと、強度が上がる「時効硬化」という現象も発見されました。
現在は、短時間の加熱処理で硬化処理が行われています。
これは熱処理用語で「時効処理」と呼ばれています。
そして、アルミニウムと異種金属を混ぜて合金化したり、熱処理による強化などで、いろいろな強度や特性の持つアルミニウム合金製品が製造されています。
そして、さらに強度の高い 超ジュラルミン(2000系)、超超ジュラルミン(7000系)などが開発されています。
現在は、強度が高いチタンの使用も増えていますが、純金属としての比重で比較すると、チタン4.5、アルミ2.7 なので、アルミ合金は航空機部品などにもたくさん使用されています。
(来歴)2017.10文章作成 2021.8全面見直し R7.12月に確認


