見ていて可愛い「ガリレオ温度計」は割れやすい
丸いカラフルな球が温度によって浮き沈みする「ガリレオ温度計」は見ていて楽しいのですが、倒すと簡単に割れます。倒して、割ってしまった方も多いでしょう。
でも、容器が割れても、中のフロートが無傷なら、中の液体は自分で作って適当な瓶に入れると、それなりに見栄え良く修復できます。
写真のような「縦長容器」は市販されていませんが、100均で購入した広口瓶を使って再生してみます。
胴が太いのでフロートが広範囲に動き、オリジナル容器とは違った動きの面白さが出てきます。
私が行った「アルコール水溶液」を使って修理した方法を紹介します。ガリレオ温度計を復活させたい人は、参考にしてください。
ガリレオ温度計 倒れると、すぐに割れてしまうのが欠点。
温度による密度変化で浮力が変化して浮き沈みする
ガリレオ温度計は、温度による液体の膨張収縮で液体の密度（比重）が変化し、それによって浮力が変わってフロートが浮き沈みする … という原理です。
これは、「それでも地球は動いている …」という名言で有名なガリレオ・ガリレイが原理を見つけたので、「ガリレオ温度計」という名前になっています。
もちろん、このような温度計をガリレオがつくったというのではないのですが、この形の可愛いフロートもなんとも言えない可愛さがあるので、もしも「ぷよぷよ型のフロート」でなかったら、ここまで多くの人に親しまれていない感じもします。
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一番下のフロートが室温を表示
市販のものは、この丸いフロートの下に温度を表示したタグがつけてあり、浮いている一番下の温度が「室温」を表すようになっています。
上の写真のものは35cmほどの高さがある比較的大きなもので、購入当時は3000円程度でした。
今までにも、いくつものガリレオ温度計を購入しているのですが、そのうちいくつかは倒して割ってしまっています。
今回は、割れた温度計の修理をやってみました。
上の写真のものより小ぶりで、7つのフロートがあり、16℃～28℃までの2℃刻みの温度に対応してフロートが上下するものです。
安定が悪く、倒れるとすぐに割れてしまう
容器が割れてしまっても、中のフロートが傷んでいなければ液体を入れ替えて再生できます。
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使われているのは石油系の液体？
割れた液体の匂いをかぐと石油系の薬品（液体）のようでした。
本来、割れやすいものですので、使用されている液体は危険なものは使われていないでしょうから、割れたガラスを処分して、フロートをよく洗います。
ちなみに、水（水道水）に浮かべると、温度に関係なく全部が浮いてしまうでしょう。
つまり、水道水の比重（＝1）ではダメということです。比重の小さい液体が必要です。
水より比重の小さい液体は？
「危険でないもの」「簡単に購入できるもの」で、比重が1以下といえば、身近にあるものでは、 灯油、アルコール などが使えそうですね。
灯油の比重は 0.8から0.85 程度で、エチルアルコールやメチルアルコールもやはり 0.8程度です。
後で説明しますが、燃料用アルコール（エチルアルコールとメチルアルコールなどの混合アルコール）の中にフロートを入れると、すべて沈んでしまいます。
このことから、水を加えて、いい状態を探せばいいと予想できます。
危険性が少なく、比重調節ができるアルコール
安価なで入手しやすい「灯油」は、混合する溶剤を選ぶのが難しそうなのですし、純度の高い薬品扱いのものは、購入手続きが面倒な場合があるので、ここでは安価でホームセンターやドラッグストアで入手できる「燃料用アルコール」を使うことにしました。
もちろん、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコールなども水溶性ですので同様に使用できます。
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アルコールは、火災の危険性があります。 また、燃料用アルコールにはメチルアルコールなどの有害な成分が混ざっているので引用すると危険です。
しかし、取り扱い中は火気厳禁にして、蒸気を吸い込まないように注意すれば問題はありませんし、燃料用アルコールは「水」と混ざるので「比重調節」には好都合です。
調整の仕方
水道水にフロートを入れると、室内の温度に関係なく、すべてが浮き上がりますし、燃料用アルコール（原液）にフロートを入れると、全て沈んでしまいます。
そのために調整は、アルコールに水を加えていくか、水にアルコールを加えていくかが迷うところですが、私の結果では、加える水の量が少なかったので、アルコールにフロートを入れた状態で水を加えて調整する方法がいいでしょう。
広口瓶に変えて復活したガリレオ温度計
ガリレオ温度計用の液体の作り方：手順
用意するもの
①適当な深さのあるビン ②燃料用アルコール ③水 ④棒状温度計（寒暖計でも可）⑤水差しとスポイト を用意します。
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①のビンは「お好みのもの」を用意。
私の場合は、直径が大きい容量で面白い動きが楽しめるようにしたので、アルコールは500mlｘ2本を用意しました。
②燃料用アルコール コーヒーサイフォンに使うアルコールランプ用のホームセンターやドラッグストアで売っている500mlで500円までの安価なもので問題ありません。
市販のガリレオ温度計を見ると、可愛いものが販売されています。参考に。
水は水道水で問題はありません。
温度計（寒暖計）は混合液の温度を測るためのもので、水差し・スポイトは、ごく少しずつ水を注いで比重を調整するために使います。
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作業は、春・秋が狙い目・・・
私の温度計のフロートに表示された温度は、16℃－28℃ の 2℃刻みですので、気温がその範囲の時に作業すると作業が楽です。
28℃以上の真夏や16℃以下の冬季になると温度調整作業が大変ですし、微調整ができないので、温度変化での動きを見やすい春か秋で、朝夕の温度差のある季節が作業がやりやすいでしょう。
フロートはそのままの状態で使います 手を加えませんので、洗剤できれいに洗って、乾燥させておいてください。
そして、前日から道具一式を同じ室内に置き、室温になじませておきます。
さあ、作業開始しましょう
アルコールの中に少しずつ水を加える方法を取ります。
逆に、水の中にアルコールを入れても問題ありませんが、出来上がりの分量がわからないし、加える量は水のほうが少ないので、このほうがいいでしょう。
まず、燃料用アルコールを容器に7～8分目ぐらい入れて、フロートをすべて投入します。
気温（と液体温度）が30℃以下なら、全て沈みます。
もしも、全量がアルコールでも全てのフロートが浮いてしまうようなら、もっと比重の低い液体が必要になってこの方法は使えませんが、多分、フロートはみんな沈むでしょう。
アルコールは「危険物」ですので、火気厳禁と換気に気をつけて作業します。
燃料用アルコールにフロートを全部入れて、全部が沈んでいる状態から、水を少しずつ加えて、よくかき混ぜながら液温を測る作業をゆっくりと繰り返します。
非常に微妙な比重差が関係しますので、一気に水を加えすぎないことと、十分に時間をおいて温度が安定するのを待って、かき混ぜた時の液体やフロートの様子を観察しながら作業をすすめることが重要です。（半日ぐらいかける気持ちで、気長に作業しないとうまくいきません）
目的の比重に近づいてくると、室温に近い温度が表示されているフロートがフラフラと上下に動くようになります。
そうなってくると、さらに慎重に作業をします。
液温と同じ温度を示すフロートの動きを見て、水を少しづつ加えるのですが、「1滴ずつ」という微妙な作業になります。ともかく、慎重に充分に時間をとリながら作業を進めるようにしてください。
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液に差し込んだ寒暖計とフロートの温度表示を見ながら、ごく少しづつ水を加えて、よく撹拌しながら温度をあわせていきます。
水を入れすぎると、アルコールを追加して調整していきます。
ともかくゆっくり時間をかけて作業をします。
もしも水を加えすぎたようなら、アルコールを少し入れます。 ともかく、このあたりの作業は時間がかかるし根気がいります。焦ってはうまくいきません。
時間をかけて作業します
水の量がスポイトの2－3滴であっても、それで、フロートの動きが変わります。
①少し水を加える ②時間を置く ③水またはアルコールを少し加えて、かき混ぜて様子を見る … を繰り返して、フロートに書いた温度と室温・液温をあわせていきます。
朝夕で数度の温度差がありますので、液体をかき混ぜながら、いろいろな温度での状態を見るようにします。
フロートは2℃刻みですので、1℃以下の誤差ならOKとしましょう。
私は1週間ほど様子を見ながら、水とアルコールを微調整しながら、この作業を繰り返して最終状態を決めました。
周囲の温度差もあるので、一発で決めるのは無理です。それぐらい微妙なもので、自分が納得行く状態になったら、最後はフタをキュッと密閉して作業は終わりです。
また、写真のように窓辺におくと、ビンの表面、上下で少しの温度差が自然に出来るので、フロートが途中で止まったり、やや上下を繰り返す・・・など、市販されている細長瓶にはない動きがあって面白いです。
以上です。
割れてしまった「ガリレオ温度計」はフロートが無傷なら生き返らせることができますから、もしもガリレオ温度計のガラスが割れてしまった時には、この記事を思い出してください。
市販のものも参考に、いろいろと工夫して楽しんでいただくといいかもしれませんね。
→アマゾンの「ガリレオ温度計」を見る
【追記】温度が安定してから、蓋のところをボンドで固定して液が蒸発しにくくしました。さらに1年以上が経過しましたが、特に問題はありません。
（来歴）R5.2月に誤字脱字を含めて見直し。 R6年12月に確認
