淀川は、滋賀県の琵琶湖から「瀬田川」となって流れ出します。
それが、京都府で「宇治川」となり、京都方面からきた「桂川」と奈良方面からの「木津川」が合流します。
そして、「淀川」となって大阪湾まで流れています。
淀川はどこからどこまで？
一般的には、河川法では、終点（河口）での河川名を採用します。
だから、淀川は、瀬田川＋宇治川＋淀川の75.1kmが「淀川」ということなのです。
しかし、それなら、「淀川だけの部分」はどこから始まって、長さ（距離）がどうか … が気になって、歩いて確かめました。
GoogleMapでの合流地点付近には、下のように河川名が重複して複雑です。
◯字で示したように、河川名のところに、4つの川名が混在して、分かりにくい状態でした。（R4年5月以降のグーグルマップの表示はシンプルになりました）
そして不思議なことに、木津川については流路延長99kmで、桂川については、幹川流路延長114kmという記述はあります。
しかし、宇治川や、木津川、桂川だけの単独の流路距離がわかりません。 どうもそれは、河川境界がはっきりしないためのようです。
このように、地図上に書かれた河川名を〇で色分けしたところ、併記されている部分がたくさんあります。
どうもこれは、河岸で管理者が異なるために、複数の河川名になっているということのようです。
そして、現地を歩いて道標や表示板を調べました。
そうすると、やはり、河川名の管轄や表記は入り組んでいて複雑でした。
三川合流域（さんせんごうりゅういき）
この3つの川（宇治川・木津川・桂川）が合流するところは「三川（さんせん）合流域（または三川合流地点）」と呼ばれます。
3つの河川を管理する国土交通省の管理区域図をみても、担当部署がかなり入り組んでいます。
さらに、県境（この場合は京都府と大阪府）も段違いになっています。 例えば、宇治川の中央で区分けされているところをみると、当然、右岸と左岸で川の名前が違います。
そうなると、どこから淀川が始まっているのかということを確認するのも大変そうです。
そこで、徒歩で「どこから淀川が始まっているのか」を調べてみました。
淀川の水系管理部署をみると・・・
淀川は、「1級水系・1級河川」で、桂川、宇治川、木津川、淀川などは国土交通省の管轄です。
そして、右左岸で分担が異なってて、それを担当する出張所の組織も分かれています。
下が国土交通省や淀川河川事務所のHPの資料です。（これもわかりにくい図ですが・・・）
三川合流域に行くには
最寄り駅は、京阪「石清水八幡宮駅か橋本駅」、阪急京都線「大山崎駅」です。
自動車利用なら、木津川と宇治川にかかる「御幸橋（ごこうばし）」の駐車場が便利です。
御幸橋の途中から駐車場に入ることができます。
この写真は、三川合流域を紹介する「さくらであい館」の展望台から撮ったものです。
ここから眺める360°の景観もおすすめです。
館内では、三川合流域をうまく紹介するビデオも放映されています。
河川土手には「京奈和自転車道」などのサイクル道が整備され、ローダーさんたちも多く、景色も環境もいいところです。
私は、広範囲に調査するために、手前の駅で降りて、全工程19kmを5時間半かけて歩いています。
これは、あまりオススメするようなウォーキングコースとはいえません。 しかし、調査しながらのウォーキングは退屈しなかったことは確かです。
調べた結果は … やはり境界は複雑でした
「黄●印」のところは、河川名や河口からの距離などの表示がある場所です。
特に、宇治川と淀川の境界がわかりにくかったです。
下に、私が考える「境界と考えても良さそうな位置」を黄色の点線（4本）を川の部分に書き入れています。（最終的に、独断で仮定した境界位置です）
そうなると・・・
結局、淀川部分はどこからでしょうか
国土交通省が流域全域を統括していますが、桂川、宇治川、木津川、淀川はすべて「淀川」なので、国土交通省に、「桂川、宇治川、木津川でない淀川はどこですか？」と聞いても、多分、答えが出てこない感じがします。
もしも国土交通省がそれを明確にする必要があるなら、もっとシンプルに線引したり、矛盾の無いように道標や表示を管理するはずですが、そうなっていないところをみると、そのような管理の必要がないということなのでしょう。
例えば、宇治川と木津川の間にある「背割堤（せわりつつみ）」の先端で「＊＊ｋｍまでを淀川とする」などのように決めれば、明確な管理ができるでしょう。
しかし、そうしていないのは、境界を決める合理性・必要性がないということなのでしょう。
（参考）淀川の終点：淀川左岸0.0ｋｍの距離標（こちらの記事を参照）
実際に歩いて調べた境界関連写真
道標や看板や道路表示を下の写真に対比させています。（小さい写真ですので、イメージとして見てください）
以下では、実際にある道標などと境界（河川名の変わるところ）位置を見てみました。
1.「三川合流点」の道標は淀川の起点といってもいい？
「背割堤」の土手の突端付近の木津川右岸に「三川合流点から0.0km」の道標があります。
そこには、「三川合流点から0.0ｋｍ」＋「木津川距離標0.0km」と書いた道標がります。
だから、ここが「淀川」の起点とするのが一つの見方と言えるでしょう。
もちろん、ここより下流の砂地を歩いていけます。
だから、実際の合流点というものではない「仮の基準点」ということですね。
次に、それぞれの川ごとの境界を見てみます。
2. 淀川と宇治川の境界はややこしい
背割堤の途中には、下の写真のように、宇治川と淀川の道標があります。
つまり、淀川(河口から36.0kmと表示）の上流が宇治川です。
宇治川には「河口から37.0km」と表示があるので、（ややこしいことは別にして）この2つの道標の間に河川の境界がある … ようです。
そこで、かなり適当ですが、上の写真のように、この2つの道標の中間点に点線の直線を引いてみました。（私の勝手な決め方です）
3. 淀川と桂川の境界もややこしい
桂川右岸は、大阪府と京都府の県境より下流の大阪寄りに、GoogleMapには「桂川」と表示されています。
すなわち、Google地図も、下の、桂川右岸にある表示から、そこを「桂川と淀川の境界」と考えているようです。
ただ、これとは別に国土交通省が、桂川上流の道路に IR0.0（すなわち桂川の0km地点で、Iは区切り線、Rは右岸の意味）を表示しています。
それはともかく、ここでは、歴史的な意味も含めて、ここが桂川と淀川の境界だとしておきましょう。
以上で、ともかく、それらしい3つの川の名前が変わるところの位置を、自分なりに推定できたことになります。
つまり、瀬田川→宇治川→淀川 の全75.1ｋｍのうちの「淀川」の部分は、まず、背割堤の先端の「三川合流点」から始まっているとします。
そうすると、大阪湾の河口付近の「淀川0km地点」から、およそ36km程度の位置で、桂川、宇治川、木津川が淀川になっているという程度のイメージです。
これらは、私が勝手に考えたもので、正式なものではありません。
もしもこの近くへ行かれる機会があれば、思い出して、見ていただくと、また違った見方もできるかもしれません。
お読みいただき、ありがとうございます。
→ こちらに、淀川左岸を河口まで歩いた記事を書いています
（来歴）R4.3に見直し R4.5にサイト分離 R7年12月に確認
