「都市光害」で夜中でも空が白んでいる日が多く、周辺の街灯もLEDで明るく、お月さんがでていない晴れた空でも、肉眼で見える恒星はようやく2~3等星の恒星だけで、都会の空では星座盤にあるような星座を探すことも困難です。
小学生の頃に、北斗七星のひしゃくの後ろから2番めの2等星ミザールに連星の小さな星(アルコル:4等星)が寄り添っていて、中国の科挙(かきょ)登用時の視力検査に使われたという話を学校で聞いたのですが、都会の空では8倍の双眼鏡で辛うじて確認できる星です。
「星座盤」の星座には4等星も多く含まれているので、(→こちらに星座盤の記事あり)肉眼で2等星程度までしか見えないと星座も確認できないし、2等星の「北極星」さえも見えないときのほうが多いので、双眼鏡は強い味方です。
でも、「火金木土の4つの惑星」は数少ない「肉眼ではっきり見える星」です。その他の水星や天王星は見ることが難しいのですが、これら4つのうちの1つでも明るい惑星が見えているとホッとしますね。
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肉眼で見えて、見える場所が移動する4惑星にワクワク
「金火木土」の4惑星は、マイナス等級なので1等星よりもはるかに明るく、見える位置も日々に変わっていくので、惑星は楽しめる星です。(文章の最後に「見かけの等級」について簡単に説明しています)
参考:肉眼で見える惑星の極大等級
「人間の目では6等星まで見える」と言われますが、天王星は5.3等星ですが、家のベランダから「今日の星空」のサイトで天王星のみえる方向に双眼鏡を向けても天王星は見えません。
(参考)国立天文台のHP「今日のほしぞら」(→こちらのページ参照)で星の位置が確認できますのでHPをのぞいてみてください。
大阪の宵に見える惑星の様子
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惑星は同じ位置に留まっていませんので、地球の自転と回転周期がうまく合う時期に当たれば、いくつかの惑星が同時に見えますが、しかし逆に、時期が悪ければ、1つも見えないときがあります。
色付きの部分はその時間帯に見えている惑星を示しています。上下部分の薄い色の部分は、20時か22時のどちらかで見えて、もう一方の時間には見えなくなっていることを示しているのですが、つまり、この時間帯では、お目当ての惑星は地平線近くにあって見にくくなってしまっています。枠中の英字はW:西 S:南 E:東など見える方向を示しています。
このように、4つの惑星が同時に見えるのは稀で、3つの惑星が明るく空に輝いているの状態であれば、かなり「ラッキー」と言えそうです。
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ほとんど見るチャンスがない 水星
小学生の時に、「水金地火木土天海冥」と覚えた「惑星」ですが(冥王星は惑星から外れたのが惜しいですが)、水星は地球の内側で太陽に近いところにあるので、日の出直前か日の入り直後しか見えません。
水星の極大光度は-2.5等級と結構明るいのですが、地平線から上にあがる高さは20°以下(地平線から最も離れて見える角度を「最大離角」といいます)ですので、空に残光が残る薄明るい空の状態で見つけるのは困難で、さらに、満ち欠けをして光度を減じている場合が多いので、かなり見付けにくい惑星です。
私も、「天文年鑑」や「今日の星空」のサイトで見えそうな夕方のタイミングを狙って双眼鏡で眺めていますが、やはり大阪の空では見るのが難しくて、東方最大離角にある時に5日間連続に眺めても、1回見ることができればいいほどレアな惑星です。(望遠鏡で欠けているのを見たいのですが、未達成です)
明けの明星・宵の明星 金星は花形です
金星は、非常に明るく、はっきりと分かる星ですので見る機会も多いでしょう。木星も明るい星ですので、「今日の星空」のサイトで確認しておくと良いでしょう。
数年前に、西はりま天文台で、「昼間の金星」を、60cm望遠鏡を使って見せていただきました。
晴天の昼間でも星が見えることに驚きましたし、その時の昼間に見えた金星は、お月さんのように欠けていましたが、肉眼では欠けているかどうかの判別は難しいですね。
赤い色の星 火星
平成30年(2018年)に大接近した「赤い星 火星」ですが、地球に近い外側を回っているために、比較的に、見えている期間が長い惑星です。
藤井旭さんの天文年鑑より
火星は地球の外側を公転周期は687日で回っています。地球(365日)とのズレが有るため、その会合周期(近づく周期)は約780日ですので、2年2ヶ月ごとに接近して大きく見えるようになるようです。
平成30年7月大接近の火星
中国やアメリカが火星探査を計画している話題もあり、これから楽しみのある惑星です。
木星のしましまや土星の輪は小さな望遠鏡で見える
「惑星」を広辞苑で引くと、恒星の周囲を公転する星とあり、太陽系以外でも惑星が見つかっているというニュースもしばしば耳にします。
遊星、迷星などの言い方もあるのですが、私は、「ワク」は「ワクワクするのワク」と思っています。
私の持っている小さな望遠鏡で恒星を見ると「点」ですが、惑星は形が見えるので、見ていてワクワクします。
この望遠鏡は口径80mmで150倍のレンズが付いていて、惑星の形や様子が判別できます。 ただ、残念ながら写真装置は高価で手が出ないので、見たイメージを作ってみたのですが、土星や惑星の「衛星」も見えるのでそれなりに楽しめます。
(注意)これは写真加工したイメージ写真です。実際に私が撮った写真ではなく、天体記事の写真を、私の望遠鏡で見た状態に模して加工したものですが、実際に見える大きさはもっと小さいのですが、ぼんやりですが、火星の表面の色や木星の縞の他に、木星土星の衛星も見えます。
私が持っているビクセンのPORTA 80Aは現在販売されていませんが、口径80mmで5万円以下の人気機種では、 ポルタⅡ80Mf スターセンスエクスプローラLT80AZ などが人気です。
この程度の小さな望遠鏡では、雑誌やWEBにあるような惑星の姿は見えませんので、頭の中に「図鑑などにある惑星の姿」を叩き込んでおいて、そのイメージを持って望遠鏡をのぞくと、像がはっきり見えていなくても色やシマシマが見えているように感じます。ともかく、惑星を望遠鏡で見るのは楽しいものです。
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(参考)見かけの光度等級
1等級ちがえば約2.5倍の明るさの違いになります。2等級ちがえば2.5x2.5=6.25、1等級とマイナス1等級では、+1→0→-1 ですので、やはり6倍も明るさが違うことになります。
宵の明星などと言われる、非常に明るい金星は、-4.7等級で、「ピカッ」と夕空に輝く宇宙ステーションISSを見たことがある方もおられると思うのですが、それも同等の等級というのですから、非常に明るい星です。
満月が約-13等級で、半月が-10等級といいます。これは、8倍程度の双眼鏡でみると眩しくて凝視できない明るさです。
北極星が+2等級(いわゆる2等星)で、都会に住む若い人で北極星を見たことがない人が多くなっていると思うのですが、都会での何十年後は、さらに夜空の星が見えにくくなっているでしょうから、見えるうちに思い出として頭に焼き付けておくのも必要かもしれません。
(来歴)R5.2月に誤字脱字を見直し R7年3月に確認