突発性難聴になった体験談です。患った人だけしかわからない、恐ろしい病気です。 WEBには、ほとんど、体験談や症状の詳細記事がなく、気になる人も多いと思います。少し詳しく書いています。参考になれば・・・と思います。
「おかしい」と思ったら、すぐに耳鼻科に駆け込む
私は、50歳ごろに左耳が、そして、20年後ですが、反対側の、右耳の突発性難聴を罹患しました。 その症状は、いずれも、全く違います。 また、治療の方法や回復の経過も、全く違いました。
いずれも、ほぼ、完治したのですが、そのためには、「異常を感じたら、すぐお医者さんに駆け込む!」・・・のがベストな方法です。
治療法は、両耳ともに、ステロイドの処方で、生活に支障ない程度まで回復したのですが、いずれの医師も、「治療が3日遅れると、回復しなかった・・・」といいます。
私のとった行動や状態で、参考になるところがあれば・・・ということで紹介します。
急に耳が聞こえにくくなり、突発性難聴を疑いながら、この文章を読んでどうしようか・・・と考えている人は、ともかく、何をおいても、耳鼻科医院に駆け込んでください。 早く治療を受けるか受けないかで、治るか治らないかが決まります。
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朝起きると、何か変??? 何も聞こえない・・・20年前の左耳
20年前に発症した左耳は劇症的で、朝起きると、全く片耳の音が聞こえず、「ゴンゴン」という、耳の奥の雑音があるだけで、外部からの音は、何も聞こえずに、耳の中が押さえつけられる状態になって、その当日に耳鼻科を受診しました。
すると、ゆるいステロイド剤を処方され、様子を見よう・・・ということでしたが、3日目に回復傾向が見られないので、大きな病院を紹介してもらい、本格的にステロイド点滴を開始しました。
このときの状態はかなり深刻で、外部の音は、何も聴こえませんでしたし、ステロイドの点滴を2週間終えても、全く回復の兆しなく、その後、3ヶ月経って、医師から、治療打ち切りを宣言される直前から徐々に回復したのですが、ラッキーだったとは言っても、3ヶ月間、全く、左耳の聴力がない状態の生活は大変でした。
音が聞こえなくても、大きな耳鳴りがありますし、さらに、右耳だけでは、音の方向がわからないので、自動車の運転にも支障があります。
最終的には、約半年通院して、6500Hz前後の聴力低下があるものの、日常生活に支障ない程度に回復しました。 その時の医師は、「すぐに治療を受けたことが良かったのだろう・・・」とおっしゃっていたので、まず、ともかく、異変を感じたら、耳鼻科に駆け込むことが第一でしょう。
医師によると、ステロイドによる治療を行っても、普通の状態に回復する人は1/3で、全く回復しない人は1/3・・・という実績のようで、私の場合は、回復した1/3ですから、ともかく、おかしいと思ったら、すぐ耳鼻科で受診・・・が、治るか治らないかの分かれ目といえます。
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朝起きると、音の聞こえる方向が変・・・ 今回の右耳の場合
今回の右耳の場合は、朝起きると、音の聞こえてくる方向が定まらないので、耳垢が溜まっているのでは・・・という程度の異変でした。 運悪く、日曜だったので、お医者さんは休診ですので、月曜の朝一番に耳鼻科医院に駆け込みました。
聴力検査をすると、下のグラフの実線のように、左右の耳の両方ともに異常がでています。 しかし、左右の耳も、音は聞こえていますが、中音域の聴こえ方が違うので、音の方向が定まらないという、変な聴こえ方になっています。
73歳ですので、太い水色で示す聴こえ方が一般的ですが、左右の聴こえ方が周波数で異なると、かなり気分が悪くなります。
そして、その3日後の朝起きたときに、異変を感じたので、朝一番に、耳鼻科にいきました。すると・・・
左耳がほぼ回復しており、下のグラフのように、右耳が全く聞こえない「難聴状態」になりました。(その時の左耳については図示していませんが、ほぼ、「最終左耳」と書いた1点差線と同じ聴こえ方でした)
このグラフは、計5回の聴力検査結果をまとめたもので、異常を感じてすぐの状態(実線)~ステロイド治療を受ける前の状態(黄色の点線:悪化した右耳のみ)~治療打ち切り時のほぼ回復した状態(一点鎖線:左右の両耳)を示しています。(骨伝導やその他の検査もされるのですが、聴こえの状態と同じ傾向ですので、ここでは示しません)
「聴こえ方」の大まかな数字の目安では、40dBは「聞こえにくい状態」、60dBでは、「ほとんど聞こえない状態」と考えていいでしょう。
最終的に「回復した」と言っても、年齢相応に、やはり、高音は聴こえていませんが、この状態で、とくに、聴こえ方の違和感はないので、平均的な年齢相応にまで聴力は回復した・・・と言っていいでしょう。
難聴進行~回復中の「聞こえの状態」は、たえず変化しました
今回は、右耳が難聴になったのですが、異常を感じて、最初に耳鼻科に駆け込んだときの聴力検査では、両耳に異常が出ていますが、それでも、ほとんど、ある程度は聞こえています。
しかし、例えば、TVの音が、後ろから聞こえる感じであったり、音の周波数の分布の違いで、音の方向が定まりません。 音が移動して聞こえる・・・という、変な状態で聞こえます。
耳鼻科では、まず、様子を見る意味合いもあり、血流を促すための「メチコバール+アデホス」という2種類の飲み薬を処方してもらって、翌日は快方傾向だったのですが、それが、発症して3日目に一転して、右耳だけが、急激に悪化しました。
そして再度、耳鼻科に行ったところ、「大病院で、ステロイド治療が必要・・・」との医師の判断になり、すぐに大病院の当日受診を手配していただき、その日のうちに、ステロイド療法を開始しています。
「聞こえない状態」の自覚症状ですが、過去に患った左耳の場合とは違って、耳鳴りはほとんどありません。 しかし、耳の膨満感(膨れ上がって押さえつけられる感じ)があり、聴力検査(グラフの黄色の点線)のように、低温は聴こえていることになっていますが、通常の音は、骨伝導を含めて、全く聞こえない状態です。
音が聞こえてくる過程は、この後に紹介します。
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このように、今回の場合は、時間とともに、両耳の聞こえ方(経過)は変化するので、「少し様子を見よう・・・」などと、素人判断するのは危険です。ともかく、医師に相談して、指示を受けるようにしましょう。
治療の方法は、担当医師に任せる
20年前も現在も、ステロイドによる治療法ととるのは変わっていないようですが、私の場合は、その方法は違っています。
20年前の左耳の時は、ステロイド点滴を毎日、2週間続けたのですが、今回の右耳難聴では、ステロイド漸減療法という方法で、3日間点滴をした後に、ステロイドの飲み薬に変えて、その量を減らして、合計9日間のステロイド治療でした。 さらに今回は、念のために、耳神経系に異常がないかを調べるために、頭部のMRI検査をしました。
そして、医師から、「回復を確約するものではないこと」「治療過程での副作用について」の説明 をうけ、治療同意書にサインしてから、当日すぐに、糖尿病などのステロイド治療に対する懸念がないことの確認するために、検尿・血液検査をし、その問題がない事を確認して、即日から点滴を受けます。そして、毎食後の「メチコバール+アデホス」の飲用は、2週間後の診察まで続けます。
ステロイド治療を始めて、2日目から回復の感じがありました。 治療開始3日目にMRI検査をして、4日目に診察を受けたのですが、まず、右耳の圧迫感が低減してきます。 しかし、治療開始後1週間は、全く右耳の音は聞こえませんでした。そして、ついに、音が聞こえ始めます。
1週間目ぐらいから、特定の音だけが、少し聞こえ始めてきて、骨伝導で聞こえるようになってきます。しかし逆に、大きな音を聞くのが不快で、突然、ビビリ音になって聞こえるのが不快なので、右耳に「耳せん」をして過ごしました。もちろん、音の方向がわかりませんので、自転車や自動車の運転は、治療終了まで控えました。
そして、10日目くらいから、「音楽」を聞けるようになってきました。ボリュームを絞って、小さな音で音楽が聞けるようになったのですが、それによって、かなりリラックスできました。
最終的に、2週間後に、聴力検査と診察を受けて、ほぼ聴力が回復していたので、治療はいったん終了です。
上のグラフの一点鎖線が、最終検査での左右の聴力です。 この結果ですが、発症前と比べて、「聴こえ方」が同じか・・・というと、聴力検査に現れないような、やはり微妙な違和感が残っています。
例えば、今回に患った右耳については、高音の聴こえ方が、若干低下しています。 しかし、前に患った左耳よりも「聞こえる」感じですし、年齢的な平均値程度は聴こえていますので、この程度であれば、自分で「治った」として、納得しないといけないでしょう。
治療終了から、さらに2週間ぐらい(治療開始から1ヶ月)すると、その聴こえ方に慣れて、違和感も薄れてきます。 そして、好きな音楽を聞いていても、若干、音色が変わっているのを感じるのですが、それが、かえって、新鮮な感じもありますので、これも、「こんなもの」と思って慣れていこうと思っています。
ステロイドによる副作用等はあります・・・これは仕方がありません
ステロイドは強力に作用してくれるのですが、やはり、副作用が大きいようです。 その副作用も、人によって違うのですが、私の場合を紹介します。
1)血圧が上昇します。 ステロイド治療を初めてから、平均で、20mmHg程度上昇し、1ヶ月程度経つと、徐々に回復していきます。 血圧上昇による、ふらつきや動悸などの異常はありませんでした。 ステロイド飲用後、約1ヶ月で血圧は落ち着いてきました。
2)体重が急激に変動します。 ステロイド治療を始めると、5日間で2kg増えました。そして、それから徐々に減少していって、約3週間で3kg減少し、その後に1kgふえた結果、約1ヶ月で、元の体重に戻りました。
特に、食事の調整はやっていませんが、便秘になります。普段は、便秘になることはほとんどなかったのですが、市販の「ビオフェルミン」を飲んで、便通を保持しました。
3)そして、何年かぶりに、風邪をひきました。これは、ステロイドの影響かどうかわかりませんが、風邪はほとんどひきませんので、これも、副作用かなぁ・・・と思っています。
その他については、特に、あとに残る副作用はなかったようです。
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どれくらいの音が聞こえているのか
実は、私の趣味で、いい音で音楽を聴くのが好きなこともあって、従来から、自分の耳の聴こえ方などに関心がありましたので、意外と音の変化を感じているのでしょう。
そのために、下のようなテスト用のCDを使って、音の状態や可聴周波数範囲などを確かめる・・・などを、普段からやっていましたので、聴力や聴こえ方の変化は、かなり掴めていると思っています。
そのために、病院での聴力検査結果の数値と、自分の聴こえている感じは、結構合致しています。
20年前に突発性難聴になった左耳は、今でも、高音域が聞こえにくくなっていて、6500Hz付近は、その時の聴力検査で65dBで、ほとんど聴こえていないのですが、このようなCDを利用して、それを確かめることができます。
ただ、再生する機器も、それなりのものが必要ですし、部屋の状況やその時の体調などで、音の聴こえ方は変わるのですが、普段から、このようなことをやって、自分の耳の状態を知っていると、何かの足しになるかもしれませんので、興味があれば、適当なCDなどを探してみてはどうでしょうか。
このCDには、演奏中の高音をカットしていったときの音の変化などを耳で聞いて比較できるようになっているなど、面白い趣向もされているのですが、残念ながら、廃盤になっているので、下の商品などをチェックしてみてはどうでしょうか。これらは特殊なCDなので、入手しにくいでしょうから、Amazonなどで購入するのがいいでしょう。
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ただ、聴力検査とは違います。 たとえば、上のグラフのように、私の左右の耳で、8000Hzが50dBと、たいへん聞こえにくいという数値ですが、この数値でも、8000Hzの音は結構聞こえるものです。
また、さらに、自分の耳で聞こえる音の上限は、どれくらいの音が聞こえているか・・・なども、このテスト用CDを使って確認すると、意外と聴こえていて、私の場合は、左右とも10000Hzの音まで聴こえているのですが、それ以上の周波数の音は、いくらボリュームを上げても聴こえない・・・ということや、罹患前は、右耳で11000Hzだったのが、若干、高音が聞こえなくなった・・・ということもわかります。
ちなみに、私の息子は30歳ですが、このCDを使って、音を聞いてもらうと、18000Hz以上の音域で聴こえていますし、妻は64歳ですが、13000Hzまで聴こえているようです。やはり、年齢とともに、高音は聞こえなくなるのは、仕方ないことのようですね。
音楽の評論家が「このCDは高音の伸びが良くて・・・」などと論評していることがありますが、CDで聞く音楽の周波数分布(スペクトル分布)を見ると、録音されている音楽では、8000Hz以上の音はほとんど含まれませんので、8000Hz程度の音が聞こえれば、それで「高音が出るとか、高音の伸びが・・・」というように感じて聞くことができるようですから、高齢になって高音が聞こえにくくなっている・・・と言っても、結構音楽は楽しめる・・・ということのようですね。
こんな事に利用できるCDですが、楽天にもテスト用のCDがあるようなので、探してみてください。 →楽天で、テスト用CDの一覧を見る
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以上、お役に立てることがあったらいいのですが、ともかく、突発性難聴が疑われたら、すぐに耳鼻科を受診することで、回復する可能性が高まることを忘れないでください。
話が変わりますが、私の妻も、「低音性突発性難聴」になりました。これは、低い音が突然聞こえなくなる病気のようで、妻の場合は、昼間に、歩いていて突然、聴こえ方がおかしくなって、当日に耳鼻科を受診したことで、これも完治しています。
また、私がステロイドの点滴をしているときに、付き添いで病院に来られた婦人と話していたところ、その方も突発性難聴になったとのことでしたが、発症して1週間たってから耳鼻科で治療したけれど、結局、片耳の聴力は回復せず、全く聞こえないままで、現在も、不自由にしている・・・とのことでした。
すぐに受診することは、重要・・・というのを、身にしみて感じますし、治していただいたお医者さんにも、感謝しています。