暦(こよみ)と生活

広告

暦と国立天文台

日本の暦は国立天文台が管理しています。

国立天文台の正式名は、「大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台」といい、その翌年の暦を製作して2月に官報に公示されます。

これらの情報は、官報よりも「理科年表」が見やすいでしょう。理科年表は国立天文台が編集して毎年発行されているもので、「暦」や天体など理科・科学のいろいろな興味深い記事が掲載されており、税別1500円と安価なので、一冊購入されることをおすすめします。

理科年表は暦の項目からから始まっています。

2022年版理科年表

この「暦部」の記事には、①祝日 ②日曜表 ③二十四節気と雑節の時間的関係 ④日にちごとの太陽・月の位置など ⑤潮の干満 ⑥天体(太陽・月・惑星・星など)の位置や食などの資料 などが掲載されています。

祝日・日曜

祝日については、法改正で変わる場合がありますが、元日、春分の日、秋分の日は太陽の運行で決定されるので、前年の2月に公示されますが、毎年同じ日になると限られていませんが、逆に、法改正で変わることはない・・・と言えます。

二十四節気・雑節・その他

太陽黄経で春分(0度)を基準に、15度ずつに名前を当てはめたものが二十四節気で、中央標準時の月日時分が示されています。

土用や彼岸などの雑節や七夕・中秋の名月の月日時分も示されています。

その他の暦項目

その他に太陽と月の日毎の諸元についても示されており、旧暦に関係する月の朔望(新月・満月)などの情報が示されるので、これが旧暦情報の修正の基準になっていると言えます。

これらの情報が日本の暦の基準となります。




暦といえば

暦といえば、「日めくり」が頭に浮かぶのですが、ここには旧暦との対照やいろいろな吉兆などに関係する情報が掲載されていますし、月間カレンダーにも、大安・仏滅(これを六輝といいます)などの生活にちょっと便利な情報のいくつかが書かれているものもあります。

日めくりとカレンダーの例

さらに、一般的に「暦」といえば、「運勢暦・開運暦」をイメージする人も多いでしょう。

運勢ごよみの例

書店でしばしば目にする「高島暦」などが有名ですが、これらは、日本の国が公示する暦の項目以外に、古くから利用されてきた「吉兆に関係する項目」(後で簡単に紹介します)が編集されており、多くの方は、そちらのほうに興味があると思います。

たくさんの運命項目が詰まった「暦」が販売されていますので、座右に置いておくと結構楽しめますよ。
暦の本を楽天で探す:楽天

暦について

主に、太陽と月の位置関係から暦を作ることを「暦法」といい、太陽の運行をもとにしたのが太陽暦、月によるものは太陰暦ですが、グレゴリオ暦・その他教会や宗教の暦法など、様々なものがあります。

現在世界で最も多く用いられるのはグレゴリオ暦で、日本でも明治になってそれが導入されて現在に至っていますが、それまでは太陰太陽暦が用いられていました。

また、明治時代まで使われていた太陰太陽暦(天保暦を指す場合が多い)を旧暦、現在のグレゴリオ暦に基づくものを新暦という言い方もあります。

暦法に基づいてつくられているのが「カレンダー」などですが、祝日の「春分の日や秋分の日」は太陽の運行に関係するので、前年の2月に公示される暦の内容(日付)や祝日法に基づいて作られています。

日本では明治5年にそれまでの太陰太陽暦からグレゴリオ暦(太陽暦)に変わりましたが、旧暦では、閏月によって1ヶ月程度も季節が飛んでしまうこともあったのですが、新暦で、季節感を表す「二十四節気や雑節」は太陽の黄経を基準に年月を割り振るので、年ごとに日にちがずれる感じは少なくなっていると言えます。

もちろん、「暦の上では春ですが、まだまだ寒く・・・」のように、二十四節気が季節にあっていないという人もいますが、この二十四節気は、中国(China)から伝わった言い方で、日本国内でも気候の特徴があるので、季節や季節感をいうものではなくて、季節の移り変わり(順番)を示すものと考えると違和感がないでしょう。

さらに、暦自体も、太陽暦が良くてその他の暦が間違っている・・・というものではありません。 日本の旧暦でも現在の新暦でも、絶えず天体(月や太陽)の運行を観測して修正されて作られているのと同様に、各地、各国で用いられる暦によって生活に問題が出るというものではありません。

しいて言えば、日本がグレゴリオ暦にしたことで、世界の多くの国と簡単に日時が季節感が対比対応できることは利点と言えるでしょう。

暦と吉兆

太陽、月、星と暦は関係深いもので大切な事柄ですが、人々はそれだけに飽き足らずに、この「暦の情報」に加えて、西洋では占星術という考え方で人の運命や吉凶を考えるようになり、東洋では、中国などの陰陽思想・五行思想などを暦法に加えてたもの(運勢暦など)が作られています。

これらは冊子に編集されて日本国内では「運勢暦」「運命暦」などとして販売されているのですが、ここには、「運勢」「相性」「吉凶」などの内容が書かれているので、民間に広く浸透している「暦」は科学的なものと非科学的なものが混ぜ合わされた、少し奇妙な感じのものになっているといえるのですが、反面、理科年表の数字を読むのと違って、運勢や吉凶が書かれていることによって、読んでいても楽しいものになっているといえるでしょう。

 

国立天文台の暦

国立天文台のパンフレットを見ると、ここは広大な組織で、職員は600人程度となっているにもかかわらず、すごい仕事をしているのですが、職員だけではなく、全国の大学や諸機関がこれに参画しているためでしょうか。

国立天文台のHPを見ると、天文情報センター計算室が暦の事項をまとめて、翌年の「暦要項」を作り、それを2月に官報に告示しているのが「日本の暦」の基本・・・だと書かれています。

理科年表には二十四節気や雑節に関する太陽の黄経やそれに対する中央標準時が示されていますが、ここには 旧暦の内容は全く示されていません

もちろん今、それらの作業を国立天文台がする必要もないのですが、やはり、旧暦が生活の関係している事実もあるので、完全に無視するスタンスではなく、月の満ち欠けの正確な情報は掲載されていますし、二十四節気の正確な日時まで示されていますから、これを過去からの旧暦の考え方(ここでは詳しく触れませんが)にあわせて正確な暦日時を使うと、新旧暦の日にちは簡単に対比できるということになります。

だから普通は、暦(新暦・旧暦)の理屈を知って対応することをする必要もなくて、市販の運勢ごよみや日めくりを見るほうが手っ取り早いでしょう。

民間で使われる暦(神宮暦や高島暦など)

冊子として市販されている「暦」には、国立天文台が示す、グレゴリー暦などに基づく暦の内容に加えて、旧暦に関する日にちや、人々に影響の強い月の運行や陰陽思想(陰と陽の2要素で万物の現象を見る)、五行思想(木火土金水の5要素で万物を見る)などの要素が加えてあって、はっきり言って、こちらのほうが日々の生活に密着していますし、楽しい内容になっていると言えます。

暦は、月日を基本に「十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)」「十二支(えと:子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)」「行事や暦注(暦を補う項目、二十四節気や雑節、選日などもここに書かれる)」「旧暦の日にち」「六輝(六曜とも:先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)」「十二直(建、除、満、・・・など)」「二十八宿」などが示されています。

陰陽師や呪術家は、これらの書かれた内容と占う人の関係で行事や動作に対する吉凶や助言をおこなう・・・ということですが、一般の人は、暦に書かれた内容で吉凶などを判断して行動の指針とするというような使い方をするような用い方がいいでしょう。

これらは「非科学的」と言って相手にしない方もいますが、古くから使われてきたものですので、一般教養として知っておく程度は問題ないと思います。

ここではその市販の暦などに書かれている基本的な内容をかいつまんで紹介します。(ここでは専門的なことや詳細は紙面の都合で書いていません)

基本的には暦は立春(旧暦の正月節)から始まるのですが、近年は新暦に沿った書き方になっていると考えて、暦冊子の記述に沿って考えるようにするのがいいでしょう。

以下、ここからの「暦」は市販されている運命暦などを言う・・・としてお読みください。

 

「九星」

九星 繰り方表

土曜星、水曜星などと示され、1~9 の数字に「7色(白黒碧緑黄赤紫)」と五行思想の「木火土金水」を組み合わせて9つの星にあてはめたものが「九星」です。

これは生まれ年で決まり、終生変わりません。つまり、「生まれ落ちたる星の下」で運命が決まる・・・という考え方です。

八白土星、七赤金星、六白金星・・・などという9種類を満年齢ごとに並べた「繰方表(本命星の早見一覧表など)」が表示されており、それが暦の最初に書かれています。

この自分の「星」を中心に運勢を見ていくことになります。

干支(えと)でその人の年がわかる・・・といいますが、九星でも年がわかるということです。

「方位吉凶図」(年盤・年版座相図・方艦図などとも呼ばれます)

方位吉凶図 方位図の例

その年の運気を八角形にして、支干(十二支と十干)との運命相関を示す基本とされるものです。

これは2018年の図ですが、2022年は壬寅で五黄土星が中央に来る(これを中宮に回座するといいます)・・・というように、毎年、毎月でこの方位が巡っていきます。

歳徳神、太歳神、大将軍など12の神様が方角にあてはめられており、その神様の持っておられる本来の性質や行動で物事を行う場合の吉凶が決まっていて、それに沿って行動するといい・・・とされるものです。

今年の恵方」などのいい方で、歳徳神の方向(2019年の場合は巳亥の方向:東北東)を向いて巻きずしをまるかじりするなどの新風習も生まれているのはここからきています。

北の方角が下に書かれていることに注意 これは、上を向いて方角を読むためでしょうか。

「六曜」と「七曜」

六曜

「六曜」は先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6つを言います。詳しい説明は割愛します。

カレンダーや日めくりにもこれが掲載されているものがありますね。

中国で生まれたもののようで、一か月30日を5等分した6日(30÷5=6)を次々にあてはめたものです。

もちろん新暦との違いがあるので完全に循環していません。これもルールがあって、編纂者が調整しています。

「大安」や「仏滅」などは誰もが知っていますが、これを真剣に信じている人は少ないと思います。 しかし、私のようにそれらを信じていなくても、頭のどこかにその意識があり、完全に無視できないほど毎日の生活に溶け込んでいると言えます。

それに対して「七曜」は現在の1週間の曜日です。

五行の火木土金水に太陽の「日」と月の「月」が加わっており、やはり天体と切り離せません。

占星術の「九曜(くよう)」もこの七曜が基本になっていて、七曜に月の交点(天球上での太陽の道[黄道]と月の道[白道]が交わる点)を加えられています。

 

「十二直」

北斗七星の動きを十二支の方位と組み合わせてもので、建・除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉 の12を運勢に当てはめて吉凶の判断に用いられています。

北斗七星は古くから何か特別の星座の形だったことに驚きます。

これによって結婚や転居、契約や購入などの日を決める行動の目安にします。

 

「二十八宿」「二十七宿」

通常は「二十八宿」が多いようですが、神社暦では「二十七宿」を用いています。

二十七宿は、月の通り道(白道)を27に等分割したもので、27は月の天球に対する公転周期(27.3日)に基づいているとされています。

二十八宿は二十七宿とは別のものとされ、天空を4つに分けてそこに七曜を組み合して割り当てたもの(4X7=28)なので、等分割ではないようです。

角、亢・・・などを日にち別に割り当てて、これについても、その日に関する吉凶が決められており、結婚や造作などの吉凶や生年月日による吉凶占いなどの関係が一覧で示されています。

神霊館発行の「神社暦」などでは、この二十七宿が記載されていますが、この掲載を廃止している暦が多いようです。

 

暦と生活

このように日本における「暦」は天体(特に太陽と月)の運行が季節と生活に関係しているだけでなく、それが運命や吉凶で人間の活動をコントロールする考え方となって息づいているのですが、西洋では太陽と星座が占星術などで影響しているのも興味深いことです。

自分の将来を予測できる占いが好きな人は多いでしょう。

日本人は、易断や四柱推命などの「占い」だけでなく、西洋の占星術なども好きな人が多いようですが、これらはすべて、天体が作り出しているものだと考えると、神秘的に思えるのも不思議なことです。

人はこれらの「占い」で、「これは良くない」という宣託(結果)があるなら、それをあえてしようという人は「変わった人」とされますし、その内容が、天体の法則から導かれた「暦」に書かれてあることだとすると、信じてもいいように感じてしまうところがあるのですが、ともかく、人は「占いが好き」になる要素というのは、体のどこかの遺伝子として埋め込まれているのでしょうか。

たとえば、源氏物語には怨霊や忌みという内容がしばしば登場しています。

現在では笑って済ませるられることも、旧暦やその前の暦が用いられて時代はもっと真剣なものだっと考えると、このは重要なものですし、当然として、祈祷やお祈りで運命を変える方法がでてくるのも必然かもしれません。

 

このように暦を見ていくと、天体の運行が人々の生活や行動をコントロールしているということになるのですが、それを思うと、宇宙の壮大さやロマンを感じますね。

 



(来歴)H30.1月文章作成  R4.1月見直し