万物は元素で出来ている

『万物は元素でできている』・・・という言い方はしばしば耳にするのですが、宇宙の物質の大部分が「ダークマター」「ダークエネルギー」と呼ばれる「何か」わからないもののようですし、また、もう一方では、人工的に新しい元素が作られているなどがあって、それで「万物は元素で出来ている」というのもおかしいと思うかもしれませんが、例えば新元素については、Wikipediaにはすでに、118までの元素が掲載されていますし、考え方からすれば、核融合によって人工的に元素を引っ付ければ重たい物質がまだまだ出来てくる可能性があります。

しかしそれらの新元素は放射性物質で、短時間で別の物質に変わってしまう不安定さがあるので、それらが地球や人体の構成要素にになることはないので、「万物は元素で出来ている」といえるでしょう。

わからないものは置いておいて、ここでは、元素や物質についてみていきましょう。

元素と原子と物質

「万物の根源になっている要素は元素である」といわれますし、「万物は原子で構成されている」とも言われます。同じことを言っているのか、何かが違っているのでしょうか?

この元素と原子については、しばしば、元素は「性質」を区別するものを総称した言い方で、原子は「構造」を区別する言い方・・・などと説明されることも多いのですが、これでもわかりにくいですね。

元素と原子と物質について、よく引き合いに出されるのが元素が 炭素(たんそ)です。

炭素という元素は炭素原子がいくつも寄り集まって、その寄り集まり方の違いでグラファイトになったりダイヤモンドになったりします・・・というと、元素と原子と物質の関係が少しイメージできるでしょうか?

炭素の説明文を見ると、いろいろな言葉が出てきます。

英語では「カーボン」。原子番号6で原子量は約12の非金属元素で、常圧下では融点がなく、昇華温度は元素中で最も高い3915K(3642℃)で、3種類の同位体があり、また現在では、ダイヤモンド、グラファイトなどの多くの同素体が発見されており、その一つのカーボンナノチューブは同重量の鉄鋼の80倍の強度があるし、ダイヤモンドは非常に硬い(現在は、ダイヤモンドより硬い物質は見つかっている)。そして何よりも、化合物の種類が多いことも特徴で、無機化合物の二酸化炭素は光合成呼吸などに、また有機化合物も生物の生命と関係が深く、工業的な生産物も非常に多い・・・・

・・・というように、説明文であっても、太字にした言葉を説明するのは大変なので、全てを取り上げることは出来ませんが、ここでは、「炭素という元素は、炭素原子がたくさん寄り集まってグラファイトというような物質を構成している」・・・というイメージで元素と原子と物質の関係を考えておいてください。

「銅製の鍋」は銅(Cu)という元素を使った鍋で、銅はCuの原子が寄り集まったもの・・・というイメージで、元素は物質素材を総称しており、原子はその素材の要素を指しているような感じですが、どうもこ野湯な言い方をするのは、数千年の歴史的な背景からきている感じです。

つまり、昔々から、物質の根源を探っていく過程で多くの「元素」が発見され、19世紀頃から、元素は多くの「原子」で構成されていることが分かってきた・・・という順序ですので、だから、例えば炭素Cを説明するのに、「炭素の原子番号6の元素元素記号はC、原子量は12の非金属元素で・・・」という言い方をする・・・ということで考えておく程度にして先に進みましょう。

現在では・・・

現在の原子物理学で、原子の詳細や内部構造まで分かってきており、原子は原子核と電子で構成され、また、原子核の中身はいくつかの素粒子で構成されている・・・ということが定説になっていますし、さらに、いろいろな物質に、たくさんの同素体や同位体等が見つかってくているので、昔から言われている「元素も原子」もその都度に説明の仕方を変えなければいけなくなってきています。

私は専門家ではありませんが、専門家の書いている文章もわかりにくい内容が多いので、ここでは、「物質」というものを私なりに理解することを試みてみます。

周期表

これは「元素周期表」と呼ばれているものの1例です。

高校時代に「水兵リーベ、僕の船・・・」と覚えた記憶のある人も多いと思いますが、この表は原子番号順の元素記号をならべたもので、原子番号が増えていくと、周期的に何かの性質の似ている関係があることから、元素をテーブルにしたものです。 縦を「族」、横を「周期」といい、縦横で何かの性質が似ています。

ここでは、金属、半金属、非金属という分類もされています。

この周期表が出来たことで、地上にない元素が見つかったり、新しい元素を見つけるために役立ったようで、つまり、自然界にないものもこの規則を頼りに発見されてこの表が埋められたのですが、レアアースと呼ばれるものなどはランタノイドの中に、新しい重い元素はアクチノイドの最終の枠に入れられてまとめられています。

これらにまとめられている元素は、元素自体の詳細がよくわからないこともあって、ともかく並べてあるという状態ですが、科学が進歩すればこの周期表の標示の仕方も変わってくるかもしれません。

最新の周期表は「拡張型元素周期表」と呼ばれたものが作成されていて、ランタノイド・アクチノイドが別表になっており、原子番号118以上の正式には未確認の元素が掲載されているものもあります。

同位体と同素体

「同位体」は 原子番号が同じで質量数(原子量)がちがうものをいいます。 たとえば、原子番号6の炭素( 6C  のように、6を下付きで書いてある場合が多くあります)で言えば、10数種類の同位体が見つかっており、自然界には 12C (質量12の炭素:約99%) 13C(質量13の炭素:約1%) 14C(質量14の炭素:微量)があり、その比率はどこでも変わらないので、炭素の原子量(質量)は12.0107という半端な数字になっています。

この14Cは放射性元素で、自然にβ線とニュートリノを放出(ベータ崩壊)して原子番号7の窒素になるのですが、その半減期(わかりやすく言えば、放射能の量が半分になる時間)が約5760年と分かっているので、古い化石などに含まれる量を調べて、化石などの年代を調べる「放射性炭素年代測定法」などに利用されます。

自然に含まれる量が少ないので人体的な悪影響は特に考えなくて良いと言われますが、放射性元素は全てのもので、取り扱いに注意が必要です。

「同素体」とは同一元素で結晶配列などが違うために性質が違うものになっているものを言います。炭素で言えば、「炭(黒鉛・グラファイト)」と「ダイヤモンド」のようなものです。

ちなみに、Wikipediaの図をお借りすると、次のようなものがあり、下の丸印の1つずつが炭素原子です。

炭素の同素体の例 Wikipediaから引用

ここからは、上に出てきた用語について簡単に補足します。

原子番号

元素は原子番号1の水素に始まって、2022年の時点では118の元素に名前が付けられています。

水素の陽子数が1で、その陽子の数が原子番号になっています。

つまり、水素Hの陽子数は1個で、原子番号113のニホニウムは陽子数が113個あることになります。

 

原子核

陽子の周りに電子があり、その陽子がある中心部分を原子核といいます。

陽子が2つになると原子番号が2のヘリウムになるのですが、この陽子は原子の中心部分でひっついていて、さらにこのヘリウムには陽子だけではなく2つの中性子という粒子がひっついて原子核を構成しています。

電子は原子核の周りにあるという状態になっていて、学校では地球を回る人工衛星のイメージで習ったのですが、目に見えたり簡単に観測できるようなものではないようです。

現在は原子物理学が進んでおり、陽子と中性子(これを核子といいます)の構造やそれらをひっつけている微粒子(素粒子)などが現在では17種類で物資を構成している・・・ということがわかってきましたが、それらは置いておいて、このHPの内容の化学の世界では「原子を構成するものは陽子・中性子・電子」である・・・としておきます。

物質を考える場合は、元素、原子以外に、その集合や結合などを考える必要があります。それらもあわせて、関係用語を見ていきます。

原子量

陽子と中性子の質量がよく似ていて、陽子と中性子の質量の和を原子量といいます。

この値は12C(=原子量12)に対する重量比なので単位はなく、表示値は中性子と陽子の微妙な質量差やその結合エネルギーのために整数になっていないのですが、ほぼ整数値と考えて、化学の世界では、水素1,ヘリウム4のように考え、さらに、原子番号=陽子数 で、中性子数=原子量-陽子数 としていい程度の端数です。

電子は非常に小さくて質量はほとんどないので、原子番号2のヘリウムの原子量は4で、ヘリウムは2個の陽子と中性子で原子核を形成しているということになります。

2016年に命名されたニホニウムの原子量をみると[278]となっています。278-113=165個の中性子があるということですが、詳しく検討するだけのデータ数字がないためか、原子量は下のように[ ]で囲まれた数字になっています。

重たい原子の周期表からの抜粋

電子は陽子や中性子のおよそ1/1800と非常に小さいものなので原子量に影響しませんが、電気的に陽子が+(プラス)、電子が-(マイナス)の電荷をもっており、これが様々なエネルギー変化や化合物を生み出すもとになっています。

 

分子

物質は原子のみで構成されているのではなく、複数の原子が結合して電気的に中性な安定した「分子」という状態があります。

「水」の最小の単位は2つの水素と1つの酸素が結合した H2O で、H2Oも「水」であり、普段目にする「水」は水の分子が寄り集まったもので、いずれもみんな、水の性質を持っています。

つまり、分子はその物性の性質を持つ最小単位(水の場合は、H-O-H:水素原子が二つと酸素原子1つが結合したもの)をいいます。

原子や分子を結びつける「結合」について

分子や原子を結びつける力を化学結合といい、その結合の仕方で性質が変わります。

金属結合 金属に見られるような化学的結合で、変形したり電気を通したり・・・という金属的な性質が生まれます。 「金属」とあるので、銅や鉄のようなものと考えてしまいそうですが、上の周期表の例のように、ナトリウムなどの非金属元素も多いことも周期表で見ておいてください。

共有結合 強くて安定した状態になりやすい結合で、同じ2個の元素の結合(H2やO2など)や、ほとんどの分子は電子を共有する共有結合になっていると考えていいでしょう。

イオン結合 塩化ナトリウムの結晶などのように静電引力(クローン力)によるだけの、比較的結合力が弱い結合で、金属と非金属に見られる・・・などがあります。

それらが規則的に並んだものを「結晶」といいますが、塩(食塩など)の結晶は、ナトリウムイオンと塩化物イオンが規則正しく並んでいます。

④その他のもの もちろん、分子や原子が結合していない、単に混ざりあっている「混合、混和」などの状態もあり、(そんな単純なものばかりではありませんが)それらが複合して物質ができています。

 

物質の由来

この世の物質(元素の集合体)はどのようにできたのか・・・といえば、大変壮大なロマンになりますが、138億年前に、宇宙はビッグバンから始まったとされる説が有力で、それによると、高温高圧の何もかもが閉じ込められて状態から急膨張して冷える過程で、核融合で水素などの軽い元素が生まれたようですが、リチウムより重い元素はその時の核融合で出来たのではなく、長い年月を経て、撒き散らされた物質(元素)が引力などで凝縮されて、それによって火の玉の「恒星」ができて、その内部の高圧高温で原子番号26の鉄までの原子核が作られた・・・といいます。

鉄以外の重い元素は?というと・・・

現在の太陽の活動状態は、核融合反応で水素からヘリウムが作られる過程の元気な状態にありますが、中心部分ではその他の核融合反応が進んで新しい元素が生成されているのかもしれませんし、さらに何億年かの年月が経つと、中心部分へ収縮しながら新しい核融合反応が促進して、最終的には鉄が生成されて冷えていくという運命になるようです。

でも、たぶんその頃には人類がいるかどうかわからないすごい未来のことですが、燃え盛る「太陽」の末期は核融合反応によって重い鉄までの元素が生成され、次第に冷えて固まって生命を終えるようですが、もっと大きな恒星は、最後に超新星爆発というのを起こします。

超新星爆発 NASAのHPより この写真はNASAのHPから引用したものですが、宇宙ですごい爆発が起きているという感じの写真です。

この超新星爆発時の爆発力は数え切れないほどの原子爆弾が一瞬で爆発するような凄まじさなので、そのときの力で鉄以上の重い元素ができた・・・といいます。

その時には、元素の出来やすさ(反応の進みやすさ)で全物質の量が決まるようで、宇宙に存在すると見られる元素料が原子番号順になっていません。

地球上には金や白金のような原子番号の大きい「貴金属」以外にも、珍しい存在量の少ない元素がありますが、あまりに長い年月なので、放射性の元素であれば他の元素に変わっていって、少なくなってしまっているのかもしれません。

それらの貴金属でない希少元素は、貴金属のようなきらびやかさもないし、放射性などで人間には有毒有害のものも多いのですが、人間はそれらの元素(物質)も時間をかけて手なづけてきました。

現在は、放射性物質であるウランやプルトニウムなどは、完全に使いこなせていないのですが、時間とともに安全で有用なものに早く研究が進むことを期待したいものです。

また、宇宙にはダークマターなどの、全く素性のわからないものがたくさんあるようですが、元素の宇宙の構成と地球や人体の構成元素などは、未知で突拍子なものではないところを考えると、元素を知ることで新しい使い方ができるかもしれません。

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