10分間で読むダークマターやダークエネルギーの話

星の話は、ロマンチックという表現を与えられることが多いのですが、宇宙や星々の成り立ちなどの話になると、不可思議という表現になってしまいます。

その最たるものが「ダークマター・ダークエネルギー」ですが、今のところ、ほとんど何もわかっていないという状況というのですが、これにまつわる話を少し・・・。

宇宙論や原子物理学の最先端など話は、理解するのも難しいですし、最先端だという内容でも、異論があったり、それを否定するものも多かったりして、少し経つとガラッと考え方や内容が変わってしまうことの多い分野です。

まずここでは、宇宙の不思議「ダークマターやダークエネルギーについて」の最近の考え方の一部を取り上げてみました。(もちろん、異論のあることや時間とともに変化することを承知の上で紹介しています)

 

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宇宙は何で出来ているの?

・・・と聞かれると、地球上の延長で、「物質」やそれを構成する「元素」さらには、「素粒子」と答える方も多いでしょう。

現在は素粒子種類や内容は、かなりのことがわかってきていますので、きっとそう答えて間違いのないように思えるのですが、いやいや、宇宙には、どうもよくわからない「見えない」物質が、気の狂うほどたくさんあるというのです。

 

この、宇宙組成の全体量はどうして分かるのかと言うことですが、宇宙には、目に見えないような素粒子から、現在、さしわたりが138億光年と言われる宇宙にまで膨張して物質が広がって宇宙が構成されているとされているのですが、その宇宙の大きさの測り方は、変光星を用いたハッブルの法則による方法と、宇宙背景放射のパワースペクトルを分析する方法がメインのようです。

それで宇宙を測定してみたところ、この両者はかなりの一致があることから、この組成の数字で宇宙がでてきているというのです。

現在の大きな宇宙に膨張させたのはエネルギーで、アインシュタインによると「エネルギー=物質」ですので、それをもとにして宇宙の大きさが求められているということのようです。(漠然としていますがすみません)

 

アメリカの宇宙背景放射を調べたWMAPと欧州のプランク探査機などによって、宇宙の構成は、原子などによる通常の物質は5%、ダークマター27%、ダークエネルギー68%・・・となっていて、星や星間物質など人間が確認できる物質は非常に少なくて、それ以外の、見えない物質(現在発見されていない何か)が大部分をしめているということがわかってきました。

その見えない一つがダークマターです。

 

地球上で見つかっている「陽子や中性子などで構成され、光を出す物質」をバリオン物質といいますが、宇宙背景放射のゆらぎのパワースペクトルからバリオン物質とダークマターの総量が解るといいます。

つまり、何かが観測されていなくても、引力などから、(ダークマターとよばれる)物質があるということが考えられるといいます。

ダークマター

でも、そのダークマターが何なのかは、今のところわかっていません。

そこで、現在測定できる「バリオン」と区別して、光(電磁波)を出さない『現在のやり方では調べることが出来ない物質』を、「ダークマター」と呼んでいます。

 

それには重力(引力)があることはわかっており、見えないけれども、他の物質に影響を及ぼす「何かの物質」であるということは確かなようです。

しかし、現在考えられている素粒子の総質量(エネルギー量)を考えても数字が合わないので、新しい未発見の素粒子や別のエネルギー形態があるのか・・・などが考えられています。

その中でも、現在は、「真空」の持つエネルギーが関係しているという考え方が有望です。

この「真空」は、「なにもない」というものではなく、「量子真空」と呼ばれるもので、量子論では、構造や対称性があり、エネルギー状態にゆらぎなどがある状態とされており、粒子と反粒子のペアが真空から生まれ、それが結合して真空に戻るという、真空はエネルギーを持ったものと考えられています。

つまり、この宇宙が生まれたときに、目に見えないぐらい小さな宇宙にインフレーションという急膨張が起きて、それが現在の大きさに広がり、なおも拡大しているという考え方が有望なのですが、その急膨張に、真空のエネルギーが関係しているというのです。

ともかく、現在の状況では、光や電磁波では検出出来ない「なにかがある」ということが確かになったという段階のようで、すべては仮設の段階としか言えないことは確かのようです。

ダークエネルギー

残りの「ダークエネルギー」はさらに厄介です。

宇宙の膨張速度が大きすぎるので、「よくわからないエネルギー」が宇宙膨張をさせている。。。と推測されていますが、それがダークエネルギーのようだとされています。

ダークマターは引力が働くのですが、現在、宇宙は膨張している事実がわかってきて、ダークエネルギーは、アインシュタインの宇宙定数のような、斥力という「引力と反対の力」が働いている・・・というように考えられてきています。

 

それが観測できない状態(もの)で、あることから、「ダークエネルギー」とよばれているのですが、真空のゆらぎや相転移、反粒子など・・・色々な候補があるのですが、現在のところ何一つ分っていません。

 

真空のエネルギーが関係しているという有望な考え方自体も、量子物理学とアインシュタインの一般相対性理論で考えられる数値が全く合わないという状況があって、今の所は「手詰まりな状態」のようで、それらを統一できる理論を探ることや、超弦理論やマルチユニバースなどの新しい考え方も入り混じって、混沌な状況が続いているといいます。

ダークマターの発見への努力

まず、ダークマターをはっきりさせようとして、現在では、宇宙ができたときの原始重力波をとらえることや、宇宙初期にインフレーションとよばれる、想像もできないような宇宙の膨張のあった痕跡を捉えるために、さらなる宇宙背景放射を精度を上げて調べられているのですが、これらは、一般相対性理論を基本にして宇宙の謎に迫るという方向のようです。

しかし、宇宙ができた頃の状態を考えると、原子物理学的には辻褄が合っていない状態なので、一般相対性理論で現在の宇宙を表現できないということから、相対性理論と量子論が相性が悪い・・・という言い方をされます。つまり、何もわからない状態で、いろいろな仮説があるという状態です。

WMAPの画像(NASA) (ウイキペディア:NASAのWMAP画像)

上の組成の数字については、WMAPとプランク探査機の観測よって、以前よりも少し精度良く数値が捉えられるようになったといいます。

と言っても、WMAPは2010年、プランクは2013年に運用を終えており、プランク探査機の2014年のデータなどで2018年ごろに以上の数値が確定してきているという状況です。

 

でも考えてみると、そのニュースや記事がようやく一般の雑誌などで掲載され解説されて、私が目にしたのは発表の2、3年後でしたので、(ノーベル賞などもそうですが)発表される以上に、多分、科学の状況は進んでいるはずですので、何かの進展があるようなのですが、一般ピープルには新しい理論や結果は、なかなか届いてきません。

それが聞こえてこないぐらいに「宇宙は大きい」・・・と茶化したくなってしまいますが、それでも、これらの内容が「最新情報」と言ってもいいのでしょう。

 

ダークマターやダークエネルギーの歴史

ダークマターやダークエネルギーについての話をもう少し紹介します。まずは、ダークマターです。

1970年ごろにアメリカの女性天文学者ルービン(2016年末に亡くなられました)が銀河中の星の速度を観測しているときに、観測結果が予測したよりも早いスピードであることを発見しており、そしてもしも、そのスピードであるならば、今見えている星々の位置関係がおかしい・・・と発表したことにさかのぼります。

これは、銀河の回転曲線問題 というものですが、アンドロメガ銀河中の星を分光観測(スペクトルを調べて速度を調べる一つの方法)をすると、銀河の周辺部でも銀河の回転速度が落ちておらずに、どこでも同じ速度に見えていたことから、星々の周りには、何か目に見えない物質があって相互作用をしているのではないか・・・と彼女は考えました。

 

すなわち、想定される速度以上に星々が運動していても銀河の形を維持しているのは、何か重力などの引き留める力が作用しているに違いないという考え方がそれです。そして、それがダークマターかもしれないと考えているのです。

 

ダークマターの分布:愛媛大学

これは愛媛大学のHPにあったものですが、コスモプロジェクトが作った、重力分布から明らかになってきたダークマターの分布図です。

左手前から右上の宇宙をハッブル望遠鏡やすばる望遠鏡を利用して重力レンズ効果から大きな質量のある状態を透視して描き出しているのですが、「物質からの放射がなくて重力を持っている物質」をダークマターと考えているようで、重力レンズによって光の行路が曲げられることから、「見えない物質」は、重力(引力)がある、「何らかの物質」というイメージのもの・・・と考えられています。

今のところ、それが何かはわからないけれど、宇宙背景放射のゆらぎ(温度ムラなど)をもっともっと詳しく調べて行くことや、パワースペクトルの状態(電磁波に含まれる波長などの分布)を知れば、通常物質とダークマターの総量がより詳しく分かってくると考えた研究が進んでいます。

そして、宇宙ができた初期の痕跡の状態を重力波を調べることによって宇宙の成り立ちを解明し、その後に、宇宙がどのように膨張してきたのかを詳しく調べれば、宇宙開闢初期のインフレーションの状態が解る・・・と宇宙物理学者は考えているようです。

それらのシナリオを検証していくことによって、宇宙の歴史がもっと詳しくわかる・・・というのですが、それを一歩一歩解明しようとしている状態が今の状況だといえるようです。

 

一方のダークエネルギーですが、現在、宇宙が急速に膨張していることが観測されています。

この宇宙膨張は、検知される質量(=エネルギーと等価)だけでは、その膨張の大きさを説明できないといいます。 その理由としては、物質以外の「見えないエネルギー」があると考えられ、それがダークエネルギーと言われるものとされています。

 

ダークエネルギーは、宇宙全体の質量(=エネルギー)の68%を占めているとされていますが、しかし他方では、宇宙は「大規模構造」というムラのある網目状態で質量が分布しているので、そういうエネルギーがなくても宇宙の膨張は起こるという考え方もあります。

だから、この考え方も、現在では確定されたものではなく、ダークエネルギーの候補を示す程度の考え方とされている状況です。

なぜこういう相反する意見になるのかということですが、ダークエネルギーの量は68%・・・などという数字は、アインシュタインの宇宙方程式から考えられる数値から算出されたもので、反対に、アインシュタインの相対性理論の上に成り立っていないと考える人も多く、そのように考える人からは、ダークエネルギーを考えずに、全く違う考え方で宇宙を描こうとしているためです。(実証がないので、今は好きなことがいえる状況と言えるのでしょう)

 

考え方の例を挙げると、この宇宙は、ビッグバンやインフレーションで作られてきたものではなく、ずっと以前から大きい宇宙があったのだと考える「定常宇宙論」や、この宇宙は1つではなく、幾層にも重なった宇宙があるという、多次元宇宙や平行宇宙などよばれる考え方があります。

また、超弦理論(超ひも理論)という言葉を聞いた方もおられるかと思いますが、人間は3次元+時間の4次元を考えるのが精一杯なのですが、この考え方では、複雑な「折り畳まれた11次元」で宇宙ができているとすることで構築される考え方のようですが、一般相対性理論と量子理論の溝を埋める理論になるかもしれないというものです。

 

このように、「宇宙」というものも、それが出来たときにさかのぼっていくと、よくわかっていない事が多く、たとえば、一般相対性理論では素粒子レベルの解明が出来ず、素粒子を扱う量子論では大きい宇宙規模を扱えないという状況にあるので、超ひも理論だけでなく、様々な新しい考え方「仮説」も模索されているというのですが、今のところは決定打がない状態のようです。

 

現在の観測データについてもそうですが、遠くから来た、光や電磁波によって(地球の近くで)捉えたデータが、見えない空間や「場」を通ってきたところを人間が観測しているとなると、現在の最新データであっても、宇宙の大きさや年齢や星々までの距離なども、ひょっとしたら、全く別な数値である可能性もあります。

例えば、10次元生物の**星人から見ると、全く違ったものになっているのかもしれません。

10万光年先に見えている星は、実は、直線距離にして10kmさきにあるかもしれない(または、全然違った場所にある?)と言うことになるかもしれないということなのですから、こうなると、何がなんだかわかりません。(SFとしては面白いのですが・・・)

 

これを明らかにしていくためには、現在、最も進んでいると考えられる、一般相対性理論と量子理論の融合が必要だ・・・とか、重力を含めた4つの力(強い力、弱い力、電磁気力、重力・・・をいいます)を統一する理論が必要・・・というアプローチの仕方も検討されており、それが明らかになれば解決する・・・と言われるのですが、そう簡単にアインシュタインなどの先駆者を超えた理論が、そんなに早く出るというのは簡単ではなさそうです。

 

つまり、現在、アインシュタインが存在を予想した「重力波」が100年経って検出されたばかりであり、素粒子では、ヒッグス粒子が見つかったのが比較的新しい話題ですが、それでも、宇宙のはっきりとした正体がわからない状態です。

色々なアイデアや考え方が議論されているものの、それが、科学的内容なのか、SFめいた話なのかもわからないと言う状態と言っていいのかもしれません。

それでも、日夜、目に見えない物質をさがす

まず、ダークマターのほうが重力があるので、考えやすいということなのでしょう。

その正体として、まず考えられるのが、目に見えない星(巨大な暗い星)やブラックホール(これが存在するという考え方は1800年代からあったといわれている:ウイキペディア)が銀河内にあるのではないか? という考え方がありました。

 

それについては1924年に発表された「重力レンズ」というもので巨大な物質の有無を調べているのですが、今の所、その量は大したものではない・・・ということがわかってきている段階です。(すなわち、ダークマターは、見えない星やブラックホールではないという考え方になってきているようです)

 

重力レンズとは、大きな重力源のそばを光が通ると、光が曲げられて、見え方が変わるというもので、これによって光の通り道の近くに、大きな質量があるかどうかがわかります。

さらにまた、星々からくる放射線や物質をX線分析していくと、組成や量の概算がわかってくるというのですが、調べてみても、どうも、考えられる宇宙の総質量と明らかに違う・・・という観測結果がでてきます。

 

そうすると、やはりどうも「目に見えない何かがある…」ということになってきていて、再度、未知のものを探したり、他の理由を考えなくてはならない状況になってしまいます。

例えば、蛍光X線の回折強度やスペクトルなどを調べることで、星の成分とその量が推定できます。この方法は、地球上でも、鋼材の成分(元素とその量)などを調べるのもこの方法が簡単なのでよく用いられます。これらを宇宙の広範囲に渡って調査する作業が進められているという段階にあるようで、地道な作業が行われている最中と言える状態です。

 

何か目に見えない素粒子かも…

物質を構成する粒子(nagai nobuhikoさんのHPより)

2015年に日本の物理学者の梶田隆章さんがノーベル賞を受賞しましたが、それは、岐阜県のスーパーカミオカンデでの測定で「ニュートリノが質量を持つ」ということを見つけた功績からです。

それまでニュートリノは「どんなものでも素通りしてしまう、質量のない幽霊のような素粒子」とされており、それが銀河にたくさんある・・・と考えると、見えないものの質量の源になりえたのです。

しかし残念ながら、測定が進むと、そんなに大きな質量はないようだとわかってきており、現在では、どうもこれも暗黒物質(ダークマター)ではないようだ・・・ということになってきています。

 

そして残りの候補は、最も新しく発見されたヒッグス粒子です。

スイスとフランスにまたがるところに研究所がある「CERN(セルン/サーン)」。

これは、素粒子などの物理学研究をする機関で、大型の加速器でヒッグス粒子などの新しい物質について研究していることはニュースなどでご存知と思います。

ヒッグス粒子が質量を持つということは、引力などの相互作用があるかどうかで判定するのですが、どうも、(上の図の)レプトンの質量などから見ると、ヒッグス粒子が小さすぎて、ダークマターやダークエネルギーの候補ではなさそうだ・・・という状況のようです。

 

そうなると、まだ見つかっていない素粒子があるのかもしれないと思う人もいるでしょう。

といっても、引力に関係するのは「質量」ですが、質量を持つ素粒子はすでに発見済みなので、そんなに大きな質量を持つ素粒子は、今後も簡単には見つかるとは考えられないという意見が多く、ダークマターやダークエネルギーは、地球上で考えられる物質ではない・・・と考える人もいるという状況です。

 

これらを見ていくと、結局の所、何もわかっていないと言えるかもしれませんが、それが科学と言っていいのかもしれません。

 

素粒子なども候補ですが、ダークマターやダークエネルギーという謎の物質は、水素などの軽いものではなく、かなり質量の高いものでないと質量のつり合いとのつじつまが合わないので、何か重い物質を含めて大規模構造が作られてきたと考えるのが妥当だという考えもあります。

 

ともかく今は、何もわかっていないので、何を言ってもいい時代と言えるかもしれません(真剣に研究されている方には申し訳ありません)。

 

新学説を唱えるとなると、命題、論証、検証などの科学的な手続きを経る必要があるので、当てずっぽうではいけませんので、地道な研究が水面下で行われているのでしょう。

でも、現状が八方塞がりとすると、数年後には真実がわかっていくことを目の当たりに知ることができる、いい時代に生きているということかもしれませんね。

 

長くなりましたので、いったんここで、概略のダークマターやダークエネルギーの説明を終わります。別のページで、ダークマターなどをめぐる現状の様子や宇宙論との関係を紹介しています。

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この文章を読み返すと、自分でも説明できていないと思うところが見つかります。参考にした書物を書いた科学者も、自分の考え方をもとに説明するために本を書いているのでしょうが、素人の私にわかるように教えてくれる書籍は非常に少なく、わからない部分はいつまでもわからないし、困ったことには、「これを数式で示しても一般の方は理解しにくい」というように逃げてしまっている書物や興味本位と言っていい書物が氾濫しています。ここではともかく、宇宙について、誰かに説明できるようにと、自分の考えを整理するために書いています。順次訂正も含めて加筆して行くと思いますが不明瞭な内容もありますがご容赦ください。

 


参考文献 重力波で見える宇宙の始まり(ピエール・ビネトリュイ) 宇宙の始まり、そして終わり(小松英二郎・川端裕人)  眠れなくほど宇宙が面白くなる本(懸英彦) Wikipediaの記事

(来歴)H30.8 誤字訂正    H30.9 文章見直し   H30.10 加筆訂正   H30.12 加筆訂正   H31.1 文書分割   R1.7 誤字訂正


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