山の話題 日本の山と大阪の山

ここでは、一度読んでいただきたい、山の話題の本があります。関連する内容も合わせて紹介しています。

日本は山が多く、山を眺めるだけで、気持ちが和らぎます。私の住む大阪府の豊中市でも、北の方向に箕面(みのお)の山々を望むことができます。

箕面の山 窓から見える箕面の山

この山の高さは300m前後で、どこにもある風景ですが、意識して眺めると、たえずその表情を変えるのが結構面白いもので、日を変えて同じアングルで数日間の写真を撮ってみたところ、山の重なり具合の面白さなどが見えてきます。

同じ景色でも、これだけ変化します 写真を撮りました

箕面山の移り変わり

普段は窓から見える近くの「山」を意識することは、ほとんどないのですが、このように、少し見方を変えると面白いですね。

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山について書かれた興味深い本

このように、山についての見方を変えると面白いことがわかるのですが、武内正さんと石丸哲也さん共著の「日本の山の数を数えてみた・・・」という本に、色々面白いことが書かれています。

この本には、山について、いろいろな見方をした話題が集められていますが、面白い切り口で「山」を見ているなぁ・・・と感心しています。高価な本ではありませんので、山好きの方は読んでみてください。

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感想(1件)

武内さんは、国土地理院発行の1/25000の地図4400枚から、17079山を調べて、それを分類して、さらに、色々なランキングにまとめる・・・という、とにかく、すごい作業をされているのですが、この中の話題のいくつかを、その他の内容を加味して紹介します。

日本の山の高さは日々に変わっている

この本には、少し興味深い、「地震によって、山の高さが変わった例」が紹介されています。

地球は、プレートテクトニクスといわれるように、地球の表層部がプレートのように大規模に移動していますので、長い目で見ると、野山も、今住んでいる場所も動いているということですね。

そのプレートテクトニクスによって地震が起こるのですが、そのときには、地面が地中に潜り込んだり、盛り上がったりしているので、山の高さや位置が大きく変わります。

「国土地理院」では、地上の三角点とGPSで継続的に調査しているのですが、東北の大地震(東日本大地震)前後の2011年と2014年にも、山の高さを計測した「三角点の標高」によれば、東日本大震災の地震の震源近くの海底では、24m滑って3m隆起したらしく、その反動で、地震地域周辺の山の高さは、軒並みに沈下していると紹介されています。

震源地に近い「金華山」では、山の高さが135cmも低くなった・・・と言うのです。

その他でも、東北地方周辺は、東日本大地震の影響を考えなくても、ここ100年にわたって、毎年5~8mm沈下している・・・とあります。

それに大地震が加わって、一度に山の高さが変化してしまったようなのですが、改めて自然の凄さを感じますね。

もちろん、標高改正された山の高さには、反対に、隆起して高くなった山もあって、高くなったのが48山、低くなったのが22山あった・・・と紹介されています。

日本第3位の山が2つになった

それによって、日本第3位の山が変わったことも話題の一つです。

東日本大震災によって、下の順位で、間ノ岳がベスト3に食い込み、第3位野山が2つになっています。

1)富士山  3776m
2)北岳   3193m
3)奥穂高岳 3190m
4)間ノ岳  3189m → これが今回3190mになり、3位タイに昇格
5)槍ヶ岳  3180m

ちょっと気になったので、そのあたりを他の資料で調べてみました。

この3位の 間ノ岳 は南アルプスに属し、日本第2位の「北岳」のすぐ隣りにあります。この辺の山は、軒並みに「高い」のです。

間ノ岳・北岳周辺GoogleMap利用

槍ヶ岳・奥穂高岳などは北アルプスにあり、みんながよく知っているのですが、どっこい、南アルプスの山々には、軒並みに高い山が多く、間ノ岳のすぐ北には、日本で2番めに高い「北岳」もあり、日本で1番高い「富士山」も、かなり近くにあるのがわかります。

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でも、どうも、奥穂高岳は3位で健在?

現在は、三角法の他にGPS測量によって、m単位以下も、かなり正確に測られているので、きっと、どちらが実際の3位だということもわかっているはずで、その他を調べてみると、R2年1月の「国土地理院の電子国土WEB(試験公開)」では、奥穂高岳が3190m、間ノ岳が3189.5mと表示されています。

つまりここでは、 間ノ岳 が4位のまま・・・ということのようです。

しかし、クイズ番組などでの数字は、両方とも3190mで「第3位」ということで紹介されていますから、「公称は同じ高さ」ということになっているようですが、こういうところをいろいろ調べてみるのも楽しいでしょう。

地理院WEBマップでの高さ

山の高さは、地震、風雪、山崩れなどで山肌が削り落とされるので、山が低くなるという話は解るのですが、反対の盛り上がっていると考えると、少し不気味ですね。

プレートテクトニクスの話題では、『ハワイ島』が、毎年8cmずつ日本に近づいているというニュースはしばしば取り上げれれていますね。

もちろん、近づくのですが、全体的に動くので、日本にひっつくことはなく、ハワイはずっとハワイのままということらしい・・・なども面白い話題です。

ハワイ島が近くに来てくれるのはWELCOMEですが、それに伴う地震が発生するのは歓迎できませんが・・・。

山に石を積んで高くしたいという人の話

この書籍「日本の山の数を数えてみた」には、この、現在3位の奥穂高岳3190mについて、2位の北岳3193mは、昔は3192mだったらしいので、2m差で甘んじるのは忍びないと、穂高岳山荘の主人が3mの石を積んでケルンを立てた・・・という逸話が紹介されています。

私も過去に穂高岳山荘に泊まったときに、石が積み上げられた、いくつかのケルンを見たのですが、(どこのどれなのか、よくわかりませんでしたが) 積まれた石を見ても、特に人工だという違和感はありませんでした。

私が穂高岳山中に住んでいれば、そうしたくなる気持ちは分かる感じがします。

河原に行くと、石が沢山積まれていますね。

この、賽の河原の話には、悲しい内容が含まれるものの、その内容を知っても知らなくても、石がたくさんある河原や山に行けば、誰もが『自分の山』を積みたくなって、石を積む気持ちになるのですが、石を3mも積む・・・というのは、執念のたわものだといえるでしょう。立派だと思いませんか。

奥穂のケルン HPの写真をお借りしました

現在は、山に造作を加えるのは法律で規制されていて、標高も、それらの造作によって変わることはない・・・ということになっているのですが、この努力は、三角点自体には手を加えていないので、犯罪ではないので、話題としては「ほっこり」します。

大阪にある、過去には、日本で一番低山であった「天保山(てんぽうざん)」も、また、現在最も低い山と認定されている仙台にある「日和山」も、自然の山ではなく「盛り土」です。

さらに、日本最南端の沖ノ鳥島を、島で残す必要から、頑丈なコンクリートで囲んで波をからの侵食を防いでいることも違和感がありますが、これは国益のためですので反対はしませんが・・・ドラマはあるのでしょう。

紹介している本には、色々なランキングも紹介されています

この他、この本の作者の武内さんは、いろいろな見方で山についての分類をされており、例えば、各都道府県ごとの『最高・最低』や、2番、3番という山の名前も掲載されています。

自分の住むところの、一番高い山ぐらいは知っておかないと思うので、誰もが覚えているでしょうが、2位以下はあまり考えたこともないので、なるほど・・・と思います。

その他に、「日付高度の山を探す」「誕生日の山を計画する」「記念日の山登りに出かける」など、標高の語呂合わせを一覧にまとめられていたり、人名、名字、方角、文字などでデータ化された山の名前などは、見ていて楽しみを覚えます。

手にとって見る機会があればぜひお読みください。
「日本の山を数えてみた」を楽天でみてみる・・・

大阪の山の話題

私は大阪府に住んでいますので、ここでは、大阪府の山の話題をあわせて少し紹介します。

山の多い都道府県と少ない都道府県

ここで紹介している本「日本の山の数を数えてみた」によれば、大阪府の全山では、地図に載っている山の数の多さは、全国46位と、山の数が少ない・・・とあります。

山の数の多いのは、1位北海道、2位新潟、3位長野で、山の少ないところは、45位沖縄、46位大阪、47位千葉となっています。

次に、標高累計(地図にある山の高さをすべて足した高さ)を比べると、大阪府は、47都道府県中45位で、1位長野、2位北海道、3位新潟で、45位大阪、46位沖縄、47位千葉となっています。

これを知って地図を見直してみると、確かに、千葉も大阪も平らで、高い山がない地域と言う感じはわかります。

大阪府でもっとも高い山は葛城山で最高地点は金剛山の山腹?

この本では、「三角点の位置を元にした分類」がされているからでしょうか、大阪府の最高標高は葛城山959m、最低は天保山5mとなっています。

また、境界を含まない最高峰は岩湧山897mとなっています。

しかし、大阪の人は、「あれ???」と思う人も多いかもしれません。

・・・というのは、金剛山(1125m:最高峰は奈良県にあります)の近くの府県境界で『大阪府の最高地点を示す1053mという立て札』があります。

大阪の最高点 金剛山金剛山にある大阪府最高点(HPから借用)

この金剛山は耐寒登山や登山回数を競うことで有名で、たくさんの登山者が毎日、記録に挑戦されていますので、この立て札を見られた方も多いとおもいます。

地図では、三角点の位置と等高線はありますが、多分、小さな登山道は示されていないので、地図からそれを調べるのは無理・・・ということなのでしょうから、この本の数字はそれはそれとして「正しい」と言えるのですね。

逆に言えば、そういう、「地図とは違うところ」を見つける楽しみも出てくるということかもしれませんね。

大阪府は平べったい・・・ようです。

埋め立てによって、都道府県で最も狭い大阪府は、香川県の上の「ブービー」になったのですが、この写真のように大阪府は山が少なく、ベタッとしていますが、結構広い感じに見えます。

飯盛山から見た大阪平野大阪府の東側の飯盛山から見た大阪平野

千早赤阪城址付近から見た大阪平野大阪府唯一の村、千早赤阪城址からの展望

 

ベタッとしてても、大阪平野は遠くが霞んで見えないほどですが、眺めると、こんなに広いのです。

 

大阪府に、1つだけある1等三角点

それは、奈良との境界の生駒山642mの頂上にあります。

生駒山頂遊園地の子供用汽車レールに囲まれたところに、三角点の表示があります。 ぜひ、機会があれば確認ください。

このように、本の記事を頼りに、近くの山の話題にフレてみようと言う気持ちになる本です。 本屋さんでは探しにくいので、通販を利用して読んでみてください。

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(来歴)最終R6。1月に確認