私は河内育ちの大阪弁を話しますが、聞いて分かりますか

私は普段、河内弁混じりの大阪弁を話していて、すでにリタイアしたシニアですが、55年以上を中河内(なかがわち)の東大阪市で過ごして、ほとんど、河内弁(かわちべん)に接してきました。

大阪市内で3回転居し、小学3年で大阪市内から東大阪市の前身の河内(かわち)市の学校に転入したのですが、そのときに、家の周りの人の会話が大阪市内と違いすぎて、さっぱりわからなかったことを覚えています。それが生活していると河内弁気味の大阪弁になりましたが、会社をリタイヤして北摂の豊中市北部に転居したところ、この地域の半分くらいの人は「大阪弁と標準語が混ざった独特な言葉」を話し、生活的な話はしなくなるほどのカルチャーショックを受けて、ある意味で、言葉の大切さを感じています。

多分、この豊中市北部では、10年経つと、大阪アクセント(と大阪弁)は隅に追いやられそうな変化過程ですが、大阪空港、新大阪に近く、関東圏などからの人の流入も多く、近年の学校で標準語化もあって、東大阪市とは違う環境なので、変化が大きいようですが、言葉はコミュニケーションの手段で、時と場所で変わっていくのは仕方がないことです。 だから、純粋の「**弁」というのを維持するのは難しいことでしょうが、これが消えるのはな寂しいものです。

さて、WEBには文章で書いた大阪弁の記事は多くあります。 しかし、文字だけでは、ニュアンスがうまく伝わりませんので、今の私の知る範囲の大阪弁と河内弁混じりの「はなし言葉」を音声記録して、10年ほどたってから聞き直すのも面白いのではないかと考えてこの文章を書きました。

私の言葉が「標準大阪弁」ではないにしろ、長年にわたって染み付いた、一人の「純大阪人の言葉」であることだけは確かです。10年後がどうなっているのかも、密かな楽しみです。(録音:2019年1月、mp3形式です)

私の暮らしたところ 私の暮らした町

(参考)私の暮らした地域に「家マーク」などをつけています。大きなアイコンは10年以上住んでいた場所です。私が使ってきた(または使っていて、これからは変化するに違いない) 大阪言葉=大阪弁≒私の河内弁 をピックアップして録音してみました。




最初は、普段の会話を感じていただくために、友達同士の会話をシミュレートしました。何を言っているのかわかりますか?

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久しぶりの同窓会で友達と会った時の会話(1例です)

最初に、十分に音量を下げてくださいね。

【A・Bの友人同士の会話】

A:ひっさしぶり。遅かったやん、何しとったん? お前、どべやで。
B:すまんすまん。おいどにごっついデンボが出来てて、はよ歩かれへんかってん。

A:ほんま? 車でけえへんかったんかいな。 隣、モータープールあんのに。【補足3】
B:そーかいな。飲まんならんし・・・。おかんは、やめとけ言うたんやけど、きてもた。【補足4】

A:なんか、しんどいんか? えらい顔して・・・。【補足5】
B:そやなぁ、しんどないけど、むっちゃ痛い。何や知らんけど。 さぶいぼが出てる。【補足6】

A:前おうた時も、めばちこできた言うてたんと違うかぁ? しゃーないやつやなぁ。【補足7】
B:ボロかすに言いないや。えげつないなぁ。【補足8】

【標準語的な訳】

A:久し振りですね。遅かったようですが、どうかしたのですか? あなたが最後(の到着)ですよ。【補足1】
B:大変すみません。お尻に大きなできものができたので、早く歩くことが出来なかったのですよ・・・。【補足2】

A:本当ですか?(大変でしたね) 車で来なかったのですか。(車のほうが良かったのに・・・) 隣に駐車場がありますし・・・。【補足3】
B:そうでしたか。 (同窓会ですので)飲酒もしますし、・・・。 私の母も(無理をして)行かないほうがいいと言っていたのですが、(無理して)来てしまいました。【補足4】

A:どこか(体の具合でも悪くて)、疲れているのですか? すごい(疲れた)顔に見えるのですが・・・。【補足5】
B:そうですねぇ? 疲れてはいませんが大変痛いのです。なぜかわかりませんが・・・。(注:これは意味のない「口癖」で「え-っと」というようなもの)  鳥肌が立ってきました。【補足6】

A:以前に会ったときも、眼に「ものもらい」が出来たと言っていたようですが・・・。 (いつもなにか問題がある)どうしようもない人ですね。【補足7】
B:(そんなに)無茶苦茶に言わないでください。ひどいですよ。【補足8】

*****

【補足1】疑問形で「~たん?」と言う会話は多いです。 「~ですか?」という感じの言葉です。

「どべ[または「べべ」](最後・最下位)」という言葉は、聞くのが少なくなりました。「けつ(おしり)」という言い方になってきたようですが、これも聞かれなくなってきています。

【補足2】「でんぼ」も独特の単語で、おでき、ものもらいです。 「おいど」は「お尻」の女性語で、男性は「ケツ」です。

「歩かれへん」は「歩くことが出来ない」ということですが、「~かってん(だったのです)」は過去のことを言っている表現です。

【補足3】モータープールは標準語だと思っていましたが、そうでもないようですね。駐車場のことですね。大阪特有のようです。

【補足4】「おかん(母親)」「おとん(父親)」という人も少なくなりました。中高生の男子生徒がよく使います。

【補足5】「しんどい(疲れた)」「えらい(たいへん)」は、現在でも現役の単語です。「えらい」というのは、優秀だ、賢いということでも使われます。

【補足6】何かを断言してすぐ後に「何や知らんけど」というのはよく聞きます。知らない人が聞くと「無責任」で、違和感があるようですが、私はこの言い方はたいへん好きです。

【補足7】大阪でしか聞かないような独特な単語はいくつかあります。
かしわ(鶏肉) ごんぼ(ごぼう) ぼっかぶり(ゴキブリ) やいと(お灸) ややこ(赤ちゃん) れーこー(アイスコーヒー) つれ(友達)  ばば(うんこ・うんち)  べべ(着物)

おおきに(ありがとう)などの商売人が話す言葉も多く残っていますし、TVでも話されていますので、ややポピュラーですが、商売ことばには、「勉強してや・まけといて(安くする)」「しまつせんと(節約しないと)」「なおしといて(しまっておいて)」などがたくさんあったようですが、多くのこのような独特の単語は、外部から来た人は、意味を取り違えるなどもあって、急激に話されなくなってきたようです。

【補足8】 「ぼろくそ(無茶苦茶)」ということもあります。

「えげつなぁ」という言い方は、話の流れによって、ひどい、やばい、すごい、きつい・・・など、いろいろな意味を持ちます。

濁音が入ると、汚い言葉に聞こえてしまうのですが、それが好まれるところもあり、特に、河内弁では、きつく言う感じが強い言葉が多いようです。



引き続いて、大阪弁の独特の言葉をピックアップして、音声を録音しています。右がわは標準語的な意味です。

大阪弁の「あ」のつく言葉

 あかん そんなんあかんだめ
それは(やっては)いけません
 あほ  あほんだら  あいつあほちゃうかバカ    あの人はバカです
 あんた  あんたなぁあなた  あなた・・・ねぇ
 あんなぁあのねぇ
 あれへん   お金あれへんありません
お金を持っていません
 あえへん(合計・意見などが)合わない

再生時は、最初に、充分ボリュームを絞ってください。

大阪弁の「い」のつく言葉

 いてるでぇ  いてへんでぇ 居ますよ   いませんよ
 いらち(やなぁ) 落ち着きのない、せっかちな人ですね
 いけへん 行けへんか? 行かへんか? 行きませんか? 行けませんか?
 いちびり いちびるな ちょける 調子に乗りやすい人 落ち着きのない動作
 いっこもない 1個もない=全くありません
 いけず(せんといて) 意地悪をしないで頂戴

大阪弁の「う・え・お」のつく言葉

(女子が)うちのこと  うちのこと 私のこと  家のこと
 ええでぇ 良いですよ・結構ですよ・よろしいよ
 えげつない(なぁ) えげつなぁ ひどい、やばい、ものすごい
 おもろい  おもろいかぁ? 面白いね 面白いですか
(=面白くないよ)
 おおきに ありがとうございます

大阪弁の「か・き・く」のつく言葉

 かめへん  かまへん 構いません
 かんにん すみません 許してください
 帰りしなに いにしなに 帰る途中に 帰るときに
 (この服)きっしゅくや(なぁ) (この服は)窮屈(ですね)
 (それ)くれ それ(私に)頂戴

大阪弁の「け・こ」のつく言葉

 けったいやなぁ 変わっていますねぇ 変ですねぇ
 けーへんか? 来ませんか?
 こーたった こーたったんやがな 買ってあげた  買ってあげたのですよ
 こちょばい こそばい くすぐったい
 ごっつ(うまい!)ごっつい(大きい) すごく(おいしい) すごく(おおきい)

大阪弁の「さ・し」のつく言葉

 (これ)さらや  (えらい)ふるや (これは)新品です
(大変)古い品物です
 しゃーない(なぁ) しょーない(し) 仕方がないなぁ しょうがないし・・・
 しょうもない・しょうむない くだらない・面白くない
 しんどい しんど 疲れた
 しまう しもといて なおしとって 片付けてどこかに入れる
 (それ)したる (それを)してあげる・やってあげる
 さぶいぼ(が出た)・さむいぼ 鳥肌が立った

大阪弁の「す・せ・そ」のつく言葉

 すまんなぁ すみませんねぇ
 すっきゃねん 好きなのです
 せーへん せんといて しない しないで!
 せや そや そうだ
 それくれ! それをちょうだい

大阪弁の「ち・つ・て・と」のつく言葉

 ちゃう 違う
 つこた 使った
 でけへん 出来ない
 どないやねん どちらですか・どうですか

大阪弁の「な・は・ふ・へ」のつく言葉

 なんでやねん なぜなのですか・どうしてですか
 なんぼや  これなんぼ いくらですか  これはいくらですか?
 はよせい 早くしなさい
 ぶた 太っている(こと・人)
 べべ  どべ  どんべぇ 最下位

大阪弁の「ほ」のつく言葉

 ほんまに  ほんま  ほんまぁ? 本当に  絶対本当です  本当ですか?
 ほる  ほかす  (それ)ほって! 捨てる  (それを)捨ててください
 ほな ほんなら それでは
 ぼちぼち そろそろ ゆっくりと もうひとつ
(=よくない状態のこと)
 ぼろかす(に言う) むちゃくちゃに言い放つ

大阪弁の「ま・み・む・め・も・わ」のつく言葉

 まけて もう少し安くしてください
 みーひん めーへん 見ない・見ません
 むっちゃ 無茶苦茶・たいへん
 めっちゃ  めっちゃブス たいへん、とても  ものすごい不美人
 もらう   やる 頂く  あげる
 わかれへん 分からない

 

言葉には苦労しまんなぁ(=言葉には苦労しますねぇ)

近年は大阪弁も、褒められているのかケナされているのかわからないなりに、吉本興業などの芸能人の東京進出のあって、最近はかなり認知されるようになってきています。

しかし、TVで話される大阪弁も、かなりアレンジされていますし、言葉の抑揚で全く違う意味になってしまうので、それらもある程度伝わるように、標準語化されてきています。

ともかく、コミュニケーションを取ろうとすれば、言葉は混じり合うのですが、そうは言っても、標準語化するのがいいかどうかは別です。

私がフィリピンのセブに1ヶ月間英会話の勉強に行ったときのことですが、小さな島でもいくつもの言葉があり、英語講師同士は、話が通じなくなると「英語」で話しています。フィリピンでは、標準語を英語(米語)にしたのは、いろいろな理由もあるのですが、正解と思いました。

日本では、英語を日本語に標準語化(カタカナ語化)してしまうので、たぶん、日本人はいつまで経っても英語が話せるようにはならないという現状を自分なりに知ったのですが、私は同様に、方言を無理に標準語化することは賛同できません。

そうは言っても、時代の流れを変えることは難しいので、2030年頃に再録音して私の言葉を比較する予定ですが、その変化も楽しみです。

ただ、私自身のことばも、子供に「それ何」と聞き返されることもでてきています。すでに、30年(1世代)違えば、言葉が変わってきているのですから、ここに録音した言葉も、2030年頃には、変化していたり、死語になっているかもしれませんね。

お読みいただき、ありがとうございました。


(来歴)2019.1月記事作成 2022.4月HP移転