♪ 虹の向こうは・・・♪というと、♪晴れなのかしら?♪・・・と返す人は、天地真理さんの歌を聞いて育った年配の方というのが丸分かりになるのですが、ここでは、虹の向こうまでの距離はそんなに遠くない・・・という話を取り上げます。
偶然に、きれいな虹が出たので撮った写真でみると、虹のある場所は意外と近いことがわかりました。
久しぶりに全天にかかる虹がベランダからを見えたので(写真はプライバシーのために風景をぼかしています)、何枚かの写真をたて続けに撮ったのですが、下の写真でわかるように、虹が山の手前にあるのがわかります。
後ろに見える山までの距離が約4.5kmですので、虹までの距離は山の手前で、はるか遠くにあるのではなさそうです。
虹は見ている背中側からの太陽光が霧や雲などの微細な水滴にあたって前方に出現します。
このときのように、虹が地表近くまではっきりと見えているのは珍しいのですが、本当に虹までの距離が近いのかどうかを確認するために、WEBの写真を集めてそれを見直してみると、地面まで伸びている写真では、背景の手前に虹が見えていますので、やはり、虹までの距離はそんなに遠くないようです。
現在では、きれいな虹が見える条件なども、ある程度解明されて数値が示されていますが、あまりにも近くにあることがわかってしまうと、少し興ざめしてしまいますが、♪虹の向こうは・・・♪ とか、「虹の彼方に」「Over the rainbow」のように、虹は遠くにかかっているイメージの方が夢もロマンもありますね。
「虹」と辞書を開くと、広辞苑では、「虹は7色の円弧状の帯」とあります。 ところが、ジーニアス英和辞典で rainbow をみると、「vibgyor」(発音はビブギョアー)という単語が載っています。
これは、虹の7色とその順番を記憶するためのもののようで、vioret indigo blue green yellow orange red の7色の先頭文字を集めたもので、「通常は、indigo を除く6色とすることも多い」・・・と書いてあります。
虹は6色というと、奇妙な感じがしますが、私はこの7色を、「赤橙黄緑青藍紫(せきとうおうりょくせいらんし)」と覚えていますし、この vibgyor も結構わかりやすくていいですね。
もっとも、これを7色といい切るには、かなり無理があるのですが、昔から「虹は7色」ですし、♪7色の虹が・・・♪ ではなくて、6色や12色では、夢が消えてしまいます。やはり「虹は7色」としておきたいです。
2重の虹
虹色はいろいろなところで見ることがあります
上は、2重に見える虹です。 虹の発生原理的には、2重ではなく、何重にもなった虹が色を反転しながら見えるはずで、光が強くなれば見える可能性はあると言われていますが、私は2重の虹までしか見たことがありません。
写真ではわかりにくいのですが、雲の下側に薄い7色が見えています。 肉眼では多色に色づいていて、これは、彩雲(さいうん)と言われます。
虹は、太陽が後ろ側にあって、前方に虹ができますが、彩雲は太陽が前にあって現れます。
これも夕方ですが、夕方に太陽が沈む前に見える夕焼けでも、「真っ赤な夕焼け」ではなくて、赤、橙、黄色などが見えるときがしばしばありますが、これは、赤い光が遠くまで届くからで、もっと太陽が高い位置であれば写真のように他の色が見えて7色に輝いて見えるときがあります。
虹は「架かる」といいます。
英語の rainbow は「雨と弓」が合体していることから、雨の前後と弓の曲がりをイメージさせる言葉ですが、日本語は「架け橋」のイメージが感じられます。
地上から見る虹はどれも半円以下の円弧です。これは目の位置より太陽の位置が上にあるからで、丘の上に立った場合などでは、虹は半円以上の円弧になっているはずです。
その例がブロッケン現象(ブロッケンの妖怪)です。
ブロッケン現象
私は北アルプスで3回、これをみています。(これはあまりいい写真ではありませんが・・・)
いずれも、太陽を低い位置で背にする夕方でしたが、前方に雲が立ち上る山の稜線などで、もし運が良ければ、この現象に出会うことができます。
条件が揃わないといけないので、数分間しか現れませんでしたが、周りの人が「もうすぐ出る」と教えてくれて、運良く3度も見る経験ができました。
写真を撮ろうとしてカメラを構えているので、その格好の自分の影の周りに7色の後光が見えます。
自分のカメラ目線を中心に輪になった虹色が見えるのですが、余裕があれば、カメラを構えるポーズではなくて、手を下げて格好いいポーズで写真を取るように考えておけばよかったと思うのですが、短時間勝負ですから、後の祭りです。
前に浮かぶ自分の影に7色の後光が光っていて「仏様」になったような気分になれるのですが、隣の人の影を見てもその7色の後光は見えません。
つまり、それが見える適当な角度があるようで、カメラを構えた自分の影にだけ、虹の後光がかかっています。
ブロッケンの妖怪とも呼ばれていますが、妖怪ではなくて、まさに「神様か仏様」です。
虹色は思わぬ場所で見ることがありますが、見える条件には、特定の条件や角度があるため、きれいに分離した7色を見ると、なにかいいことが起こりそう・・・と考えてしまいますね。
例えば、太陽が差し込む部屋に水の入ったガラスコップを置いていたりしていると、たまに虹色が見えることがあります。きっちりとしたプリズムを使うとその色は、下の様になっているようです。
これは国立天文台のHPにあった太陽光のスペクトル写真で、よく見ると、元素の「吸収線(フラウンホーファー線)」が見えているのですが、私は写真でしか、この吸収線を見たことがありません。
これによって、何億光年という星までの距離が測定されていると考えると、また別のロマンも感じます。



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