暦とは
主に、太陽と月の位置関係から日、週、月、年などの区切り(暦:れき)を作ることを「暦法(れきほう)」といい、太陽の運行をもとにしているのが太陽暦で、月の運行によるものが太陰暦です。
暦法は、一定のルールで長年にわたって使えて、かつ、精度が高く、補正が少なくなるように、いろいろな考え方(暦法)が考案されてきており、太陽暦のグレゴリオ暦やユリウス暦などがよく使われていますし、世界中では様々な暦が使われていて、年のはじめの元旦なども統一されていないのが実情です。
現在、世界で最も多く用いられるのはグレゴリオ暦で、これは400年周期で100で割り切れる年を平年にして、4年ごとにうるう年を設けると、比較的簡単なルールで誤差が少ないということと、諸外国との日時関係が共通してわかりやすいので、日本でも明治になってそれが導入されて現在に至っています。(詳しくは専門的なので、割愛します)
日本では、グレゴリオ暦になる明治時代以前には太陰太陽暦の天保暦などが用いられていました。
また、明治時代まで使われていた太陰太陽暦(天保暦を指す場合が多い)を旧暦、現在のグレゴリオ暦に基づくものを新暦といって区別して呼ぶことも多いようです。
日本の暦は国立天文台が主体で管理されています
国立天文台の正式名は、「大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台」といい、暦の作成も重要な仕事で、毎年2月に翌年の暦を官報に公示されて、それが日本の暦の原本となります。
これらの内容は官報よりも、「理科年表」のほうが入手しやすく見やすいでしょう。
理科年表は国立天文台が編集して毎年発行されているもので、「暦」や天体など理科・科学のいろいろな興味深い記事が掲載されており、ペーパーバック版(小さいサイズ)であれば、1200ページで2025年版1650円と安価なので、私は、数年ごとに買い替えています。(その程度で十分使えますし、座右にあれば、ちょっとした理科知識も学べます)
毎年、晩秋ころに新しい年度版がでます。
理科年表は「暦」の項目から始まっています
この「暦部」の記事には、①祝日 ②日曜表 ③二十四節気と雑節の時間 ④日にちごとの太陽・月の位置など ⑤潮の干満 ⑥天体(太陽・月・惑星・星など)の位置や食などの資料 などが掲載されています。
民間の「運勢暦」は、この「日本の暦」をもとにつくられます
ここには、日本の暦の項目に加えて、吉兆や運勢に関する事柄が示されていて、楽しく読めるようになっています。(→民間の暦についてはこちら)
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理科年表には、「国民の祝日」「日曜表」「二十四節気、雑節」が1ページ目に示されていて、「暦部」の大部分は、星と時間に関する現象や数字が示されています。
祝日と日曜
祝日は、法律できめられます。
祝日を定めた法律ができた1948年(昭和23年)には9日だった祝日が、現在では16日になっていますし、日曜と重なると翌日が振替になったり、連休にするように移動する場合もありますね。
もちろん、元日、春分の日、秋分の日などは、太陽の運行で決定されるので、元日を基準にすると毎年同じ日になると限られていません。
また、日曜については、閏年(うるうどし)などで、きっちりきめておく必要があるので「日曜表」として示されています。
これらの翌年の祝日が、前年の2月に「暦」で公示されて確定しますが、それでも、法律によって変わることがあります。
日本では、過去には働き過ぎという批判もあって、徐々に祝日が増えてきて、世界的にも祝日が多い国の一つになっていますが、急な祝日の法改正で、市販のカレンダーに変更が間に合わないなどの混乱もありました。
二十四節気・雑節・その他
これらは、現代の暦にも生きている旧暦の名残の内容です。 理科年表では、祝日、日曜とともに、最初の1ページに一覧でまとめられています。
二十四節気は、太陽黄経を春分(0度)を基準に、15度ずつの期間に区切ったところに名前を当てはめたもので、理科年表には、太陽黄経と中央標準時の月日時分が示されています。
さらに、土用や彼岸などの雑節の他に、その他として、七夕・中秋の名月の月日時分が示されています。(これらについてはこちらのページにまとめています)
この二十四節気は、旧暦(明治以前に使われていた太陰太陽暦)の名残で、生活に関係が深い季節表現なので、日本人らしさを感じるもので削除されずに現代の暦に組み込まれていますが、この呼び名は古代中国の影響があり、日本の地域的な気候の違いを指摘されることもあります。
しかし、黄経を割り振って名前を当てはめただけのもので、「季節の移り変わり順がわかるもの」として考えておくと、結構「日本人らしさ」が感じられるでしょう。
理科年表のその他の暦項目
理科年表のその他の項目で、太陽と月の日毎の諸元が示されており、旧暦に関係する月の朔望(新月・満月)、各地の日の出日の入りや潮汐、惑星や食などの情報が示されています。
これらの情報が日本の暦の基準となります。
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暦 で頭に浮かぶものといえば
カレンダーや「日めくり」が頭に浮かびます。
ここには旧暦との対照やいろいろな吉兆などに関係する情報が掲載されていいるので、多くの家庭では、シンプルでインテリアに向く絵柄のもの以外に、大安・仏滅など(これを六輝または六曜といいます)の情報が書かれているものを常備することも多いでしょう。
これらを迷信や意味のないものなどと思う人も多いのですが、まだまだ多くの人が利用しており、実生活に溶け込んでいて、結構、生活の中に「暦」が生きていることがわかります。
これらの翌年の暦やカレンダー、運勢ごよみなどは、晩秋になると書店の店頭などに並びます。過去には、企業のお歳暮のカレンダーで間に合わせていたのが、最近では少なくなっているので、購入する人も多くなっていることでしょう。
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「暦」の英訳は「カレンダー」
反対に、calendarの和訳は「暦」ですが、日本では「カレンダー」というと壁にかける「一覧表タイプ」が頭に浮かびますね。
私は、インテリアに映える写真タイプも使っていますが、それとは別に、六曜(大安や友引など)の書かれたものを常備しています。
これも、良い悪いは別にして、人付き合いのための、生活に必要情報になっています。
「日めくり」も、日本の日めくりは多くの情報が書かれていますが、WEBで販売されている外国のものは、シンプルで「日付と曜日」がわかればいいというものばかりですが、やはり、宗教行事予定などは必須ですから、実際はどんなものが使われてどのような使い方なのかを調べると面白そうですね。
旧暦も新暦もどちらがいいと優劣をつけるものではない
日本では、明治5年に、それまでの太陰太陽暦からグレゴリオ暦(太陽暦)に変わりました。 それまで使われていた太陰太陽暦の「天保暦」を旧暦というのが一般的です。
現在でも「二十四節気の季節感がズレている」と言われることがありますが、旧暦では、閏月によって1ヶ月程度も季節が飛んでしまうことが度々あったので、今以上に季節感を得るのも大変だった感じがしますので、先にも書いたように、季節の移り変わりを表していると考えるのがいいと思います。
たとえば、「暦の上では春ですが、まだまだ寒く・・・」のように、二十四節気が季節にあっていなくても、何かしら「日本独特の季節感」が感じられませんか?
もちろん、太陽暦が太陰暦よりもいいとか、その他の暦が間違っているというものではありません。
日本の旧暦でも、現在の新暦でも、絶えず天体(月や太陽)の運行を観測して修正されて作られていますし、各地、各国で用いられる暦も、それぞれがその土地に合うように、修正されて使用されているので、その土地の生活に大きな問題が出るということはありません。
日本がグレゴリオ暦を採用したのは、世界の多くの国と、簡単に、日時と季節感が対比対応できるようと考えたことで、これは、当時の施政者の大英断です。
国立天文台と暦
国立天文台のパンフレットを見ると、国立天文台の組織は広大ですが、職員はたった600人程度のようです。 当然それではすごい仕事量がこなせないので、職員だけではなく、全国の大学や諸機関がこれらの仕事に参画していて暦がつくられています。
国立天文台のHPを見ると、天文情報センター計算室が暦の事項をまとめていて、翌年分の「暦要項」を作り、それを2月に官報に告示しており、それが「日本の暦」の基本になっています。
理科年表には、二十四節気や雑節に関する、太陽の黄経やそれに対する中央標準時が示されていますが、それ以外の、旧暦の内容は全く示されていません。
しかしもちろん、現在は、それらの「旧暦に関する作業」は国立天文台が行う必要もないものの、旧暦の季節感が生活に関係しているので、完全に無視するスタンスではなく、月の満ち欠けの正確な情報や二十四節気の正確な日時などは示されています。
そこで生活に密着するようにつくられた「民間暦」が重宝されます。これはページを変えてこちらで取り上げています。
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(来歴)H30.1月文章作成 R6.12月に民間暦部分を分離