「光は物質ですか?(→こちら)」という記事を書いていますが、そこでは結局、光が波動なのか粒子なのかを限定できないで、いろんな考え方の紹介だけで終わってしまったのですが、どうも、量子論の奇妙な振る舞いなどをみると、光は「物質であって波動的挙動をしている」という感じが近いようです。
ここでは、粒子論と物質の話題を紹介します。
光は粒子であるのに質量がない?
この「光(光子)」は、現在のところ、質量はゼロとされています。
しかし、アインシュタインの光粒子仮説では電子を弾き飛ばすのだから、エネルギーがあるとすると、つまりそれは、質量があることになり、そうすると、光速で進めない … という矛盾がでてきます。
それが現在の考え方の状況で、そこで止まってしまっているようです。
それらは、「場の理論」などでの解明が進められているようですが、難しいことはここで置いておいて、次に、光は粒子であり、それは「物質」なのかどうかというところを見てみましょう。
素粒子論では、もっともポピュラーな「標準模型(標準理論)」というものから「光」が何なのかを見ていきたいと思います。(もちろん、結論はないのですが … )
物質という言葉を考えるときに
「物質とは?」と問われると、一言で答えるのは難しいのですが、
物理的にいえば、①物体を形作るもの ②別のものに変化できない性質を持つもの ③質量があり、空間にあるもの … などで「物質」が説明されます。
しかし、これでは、何か足らない感じがします。
化学的にいえば、①自然の状態にあるもの、または、②ある製造過程で得られる化学元素及びその化合物 を物質と説明されます。しかしこれでも、何か足らない感じです。
そしてそこに、「素粒子論(原子物理学)」というのが入ってきました。
ただ、これで、さらに混乱させた感がある … というのが、皆さんが持っている感覚かもしれませんが、それを少し見ていきます。
物質は素粒子でできている
素粒子論的には、我々が眼にしている物質のすべてが素粒子でできている … としています。
(WEBの図をお借りしています)
素粒子論で最も主流のものに標準理論(標準模型)という考え方があり、標準理論では、物質を構成するものは、この17種の素粒子から成り立っているとしています。
ここでは取り上げませんが、この他に、現在でははっきりと確定していない「重力子」という、重力を生み出す素粒子があるとされており、それが見つかった? というニュースもありますが、検証中の段階です。
もしも「重力子」などの、よくわかっていない素粒子が「実在する」と確定すれば、これらは、宇宙を作っている重要なものである可能性が高いということになるので、現在は、各国の原子物理学者や天文学者は血まなこになって、これを探している段階です。
この標準理論では、「重力」自体が非常に小さい要素なので、標準理論上では無視してよい という立場をとっています。
つまり、無視できるくらいに小さいということですので、ここでも、それに沿って話をすすめます。
この17種の素粒子について、この図を大雑把にわかりやすく言うと、物質は6種類のクオークと6種類のレプトンでできており、それが「物質」として存在するために、ゲージ粒子がそれらを結びつけていると考えてください。
本題の「光」は、ここにある「光子」です。
これは、標準理論で分類すると、ボソン(ボーズ統計に従う粒子)のうちの「ゲージ粒子」に分類される光子(フォトン)で、電磁相互作用(電気力・磁気力として現れる力)を媒介する素粒子とされます。
ここでは、それに触れる前に、素粒子を考えるときに必要なことに触れておきます。
現在の素粒子論の状況と問題
上にあげた17種の素粒子は、自然界で単独に存在しているものを見つけたというのではなく、宇宙線の観測や加速器という人工の装置を用いて、人為的に生成反応を起こさせて発見されて研究されてきているものです。
それらの素粒子の性質を説明するのにも、いろいろな考え方があって、上の標準理論は、ゲージ場理論という「場」の考え方です。
そこでは、量子色力学、ワインバーグ・サラム理論などを総合して、自然界にある物質を作っている3つの力「強い力・電磁力・弱い力」について説明されてきています。
(注)自然界は4つの力で構成されているとされますが、残りの力「重力」については、よくわかっていません。
ところが、ゲージ場理論は、素粒子には質量があってはいけないという考え方で構築されてきているのですが、加速器などの測定によると、クオークやレプトンに質量があることがわかっています。
(素粒子全てに質量があるかどうかは研究途上です)
ヒッグス場という空間
これを解決するために、(これも研究途上ですが)「ヒッグズ場」という、標準理論の基になる「ゲージ場」ではない新しい状態を考えるとうまくいく … というのです。
つまり、ヒッグズ粒子の中に宇宙全体があるとして考えると辻褄が合うといいます。
この考えをもとにすると、ビックバンが起こったすぐ後に「真空の相転移」が起こり、さらにその真空がヒッグス粒子に包まれたと考えると、クオークやレプトンがその中を動くときの抵抗が「質量」だと考えられる … というのです。
ここで、「光」はヒッグズ場と反応しないので、光の質量はゼロと考えても良いことになります。
そうすると、光子は光速で飛び回ることができる … という「うまい考え方」ができるという考え方です。
その他の質量のある粒子では、質量があることによって、当然、その移動スピードは質量のないものと比べると遅くなるので、このような「ヒックス場という特殊な場」を考えることによって、粒子の状況が説明ができるというのです。
しかし、この17種の素粒子のヒッグズ粒子(上のヒックス場とは違います。混同しないように)は、すでに存在が確認されています。
ただ、これが標準理論で示されているヒッグズ粒子と同じものかどうかもわかっていない状態です。
(ややこしいのですが、解明途中なので、こう言える以外には仕方がない状態なのです)
ヒッグス粒子は見つかった
現在は、このヒッグス粒子は、CERNの加速器で発見されたあとに、その状態(正体)が調べられている段階ですが、もしも、ヒッグス粒子が質量(=エネルギー)を持っているとすると、(実は、質量があることもわかってきていますが)宇宙の質量の23%を占めるとされているダークマター候補のひとつになるとして注目されています。
ただし、このことについても、現段階では、これ以上のことが言えません。
つまり、今のところ、よくわかっていませんし、発見された内容について、「それは正しくない … 」という意見もあって、現在は、検証段階にあるという状況のようです。
それでもよくわからないことが多い
… となると、このように、すべての物質(または素粒子)の状態が完全にわかっていないところを補充するために、当然、その他の、いろいろな意見や理論や考え方がでてきます。
しかし例えば、ある1つの有力な理論が発表されても、それがノーベル賞に匹敵する理論と言われるまでにもかなり年月がかかってしまうのですから、これらの意見の集約にはまだまだ時間がかかるでしょう。
(今年のノーベル物理学賞の成果も、数年や十年以上前のものですから)
そうなるまでの時間(期間)に、様々な意見考え方が交錯するのは当然です。
また、それら諸説との関係(正しいのかそうでないのか)を区分けしていくのは複雑で大変な作業です。
近年では、人間が知覚できない「多次元」の話などが加わってくるなどもあって、ますます、何が何だかよくわからない「混沌とした状況」になっているというのが現状の物理学の最先端の状況のようです。
最先端理論の中には、もちろん宇宙論に関係する考え方も多くあって、その中には、現在の標準理論などの基本理論さえも、根本的に覆すものもあるようで、極端には、アインシュタインの相対性理論が間違っている … という考え方もあるという状況です。(すべて仮説の段階です)
学問研究の世界では、このような諸説が交錯して混沌としているのは、困ったことではありません。
これらによって科学が好ましい方向に進歩していくのですから … 。
ただ、3次元に生きる私達が、4次元すら理解しにくいのに、超ひも理論のような10次元や11次元といった多次元を理解するのは(頭で考えられても)検証するのが困難であれば、どのように進展してくるのか想像すらできません。
これらは、科学雑誌のネタ話としては結構面白いので、私も大好きなのですが、ただ、難しすぎるのか、説明しにくいのか、興味が持てる書き方で平易に紹介される本が少ないのが残念です。
(参考)そのなかでも、BLUE BACKSから刊行されている、ピエール・ビネトリュイ著「重力波で見える宇宙の始まり」という本は、難しい内容についてもかなり読みやすく書かれていて、面白いと思います。
ぜひ一度手にとって見てください 残念ながら、少し古いので、新刊はなさそうで、古本でも見つかれば読んでみてください。
下に楽天とamazonの記事にリンクで紹介しておきます。(多分、販売されているのは中古本と思います)
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現在はどのような理論レベルの状況になっているのでしょう?
もちろん、今まで書いてきた「標準理論でいう素粒子」以外にも、いろいろな素粒子を提唱することによって、現在の世界(宇宙全体)を解明しようとする考え方などがあります。
しかし、その理論自体も確定していなくて、百家争鳴の状態になっています。
例えば、何らかの理論が提唱されて、それが他者に認められる状態まで組み上げるまでには、科学者のレベルでも難しいものですから、我々一般人がそれらの考え方を平たく理解するのは、まだまだ先のことになるということになるでしょう。
… ということで、このページも、考え方の紹介で終わってしまったのですが、実は、ここに書いた内容は、1990年代からあるもので、それから40年近く経っていても、本質については、大して進展していない感じがします。
もちろん、科学者は日歩研究しているのでしょうが、科学とはそんな地味なものですが、量子コンピュータが実用レベルになってきているなど、確かに前に進んでいるのは確かですが。

