光は物質ですか? 解ったつもりになれる粒子の話

光は「粒子」であるとともに「波」であることは、今では誰もが知っているのですが、それをわかりやすく説明しようとしても、意外に難しいものです。 文字数がおおいので、PCで読んでいただくのがいいでしょう。

私が小学生のときに、光は「可視光線」のことから始まり、次に「光は波」・・・と教えられて、中学生になって、波の合成や回折とともに、光は粒子の性質を持っているということを教わり、その後に、光は電磁波の一種であることなどの内容を学んだのですが、ともかく、簡単に「光」というものを説明できないという感じがしますね。

波動説と粒子説

1960-70年台には、現在のような、素粒子やその性質などについての理論は出揃っていたので、光についての正しい説明はされていても良かったのですが、その挙動などが現実離れしすぎていることもあったのでしょうか、当時、教える先生たちも、充分噛み砕いて理解することができなかったためなのか、それで、十分な説明がされていなかったのかもしれません。

私もそうですが、波動、粒子、量子、量子場、場の量子論、素粒子・・・などが、どこでどうつながっているのかや、それらの関係がどうなっているのかもわかりにくいのですが、ここでは、私が理解する範囲で、光というものを頭の中でイメージできるように紹介していきたいと思います。

波のイメージ

今の小学生なら、「光は電磁波の1種で、電磁波の一部が、人間の目に感じる可視光線で、さらに、波長の短い電磁波の紫外線は、強いエネルギーを持ち、それを浴びると、何かが身体に作用する」というような内容などで、「波と粒子の2重性」について、ある程度は教えられているのでしょう。

でも、光は粒子であるけれども、「物質(もの)」なのか・・・というところになると、難しい説明をしないといけません。

まず、光の性質とこのあたりの考え方を歴史の順に簡単に見てみましょう。

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光の粒子説、波動説の歴史

1700年頃~1800年初頭に、光の粒子説と波動説が別れて提唱されてきました。この年代では、おおよそは、光=可視光線 と考えられていたのでしょう。

ホイヘンス(1629年-1695年)は、光は、回り込む(回折)し、ぶつかると交差して強め合ったり弱め合う性質(干渉)があることから、光=「波」 である・・・と考えていました。

しかし、物理学の大御所のニュートン(1642年-1727年)は、光は直進するし、反射するし、プリズムで分光するし、そして、真空中などの間に、伝える何かのもの(=媒質)がなくても、光が伝わることから、「光=粒子」と考えていました。

 

1860年以降から1900年初頭には、ようやく、光は電磁波の1種であるということもわかってきていました。

可視光線は特定の周波数をもつ電磁波だということや、それが、粒子の性格も持っていることも次第にわかってきます。

マックスウェル(1831年-1879年)やヘルツ(1857年-1894年)は、光は媒質がなくても伝わり、光が伝わる速度と電磁波の速度は等しいので、光=電磁波 であるとしていました。

そして、ハルヴァックス(1859年-1922年)は、紫外線を亜鉛板に当てると、表面から電子が飛び出すことを発見しています。

この時、飛び出す量が紫外線の強度に依存しないし、短波長のほうが多く飛び出すということから、彼は、光=粒子 のようなものと考えていました。

そして、とどめとして、あのアインシュタイン(1879年-1955年)で、光にはエネルギーがあるとして、「光量子仮説」を考え、1921年にノーベル賞を授与されました。すなわち、「光は振動する粒子」であるという考え方です。

E=mc^2

アインシュタインの有名なこの式は、質量(物質)とエネルギーはいずれも同じようなもの だということを表しており、そこに光が関係していることが示されています。

そうして、ここから、「光=光子という、粒子の一種」という量子論が発展してくるようになるのですが、当のアインシュタインはこの世を去るまで、確率で表現するということが基本になっている「量子論」を受け入れなかったという話は有名ですね。

しかし、現在では、この量子論がなければ、いろいろな現象が説明できないとされていますし、それを利用して、すでに多くの製品の実用化に貢献しているのですが、この量子論は、たしかに、感覚的に捉えにくいので、アインシュタインは、なんとか自説で切り抜けたかったのでしょう。

もちろんそれができないままにアインシュタインは他界したのですが、自然はそんなに単純に説明できるようなものでは無いようで、現在に至っても、相対論や量子論だけでは、自然界の現象を説明できないという状態で、それぞれの理論には、矛盾点が含まれていて、自然現象を正しく説明できない状況が続いていると言われています。

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アインシュタインなどの考えていることと並行して、1897年に電子が発見され、1911年に原子核が発見されており、原子にも内部構造があることがわかってきます。

いわゆる、原子構造がわかってきます。

そして、1919年に「陽子」が、1932年には「中性子」が発見され、原子核が陽子と中性子によってできていることがわかってきます。

さらに、それらを結びつけている「もの」がある・・・という、素粒子を含めた原子の構成などの微細な世界が、次第に明らかになってくるようになります。

この「原子の中のミクロの探求」は現在も続いているのですが、その素粒子の一つが「光子」ですし、その反対のマクロ側には、光を中心にした、とてつもなく巨大な「宇宙」の探求が現在も進んでいます。宇宙の探求には「光」は重要な道具ですから・・・。

この光の性質を用いると、宇宙などの大サイズの現象をよく説明できる考え方が「相対論」ですが、その反面の「微小な世界」が表現できないことがあって、このミクロの探求で、一気に量子論(量子物理学)が進んでいくことになります。

量子論で考えた「光」は

黒体放射のエネルギー分布黒体放射のエネルギー分布の例(WEBより)

1900年にマックス・プランク等は、黒体放射のエネルギー分布から、黒体放射は「量子化された物質の持つ性質で、光そのものの性質ではない」とし、アインシュタインも、「光は特定のエネルギーしか持てない、波でも粒子でもない どちらかの性質を持つ「光量子」と考えるべきだ」という考え方をしています。

1924年にド・ブロイは、すべての物質(素粒子)は、波動的性質を示すことや、逆に、波も粒子の性質があるとする「物質波の理論」を提唱し、さらに、1925年には、ヴェルナー・ハイゼンベルク、マックス・ボルン、パスクアル・ヨルダン等がそれを定型化して行列式であらわしました。

さらに、シュレディンガーは、波動力学とシュレディンガー方程式によって、物質の持つ運動量や位置を表す方法を示し、波の性質として説明されてきた「干渉縞」を量子論で説明しました。

そして、ボーアハイデルベルクは「コペンハーゲン解釈」と言われる量子の状態の考え方から、「量子の状態は、重ね合わせで表現でき、どんな状態にあるかが決まらない(不確定性)こと、そして、その状態を観測すると、観測に対応した状態に変化してしまうこと、さらに、その状態は、確率密度として表現されること」などの量子的な性質を明らかにしました。

これらの量子に対する考え方によると、もはや、「ここに量子が存在する」ということがわかっても、量子自体は、それを特定できない「幽霊のような存在」だというのです。

その後1927年頃に、ディラックによって、その量子力学と特殊相対性理論(光の速さは一定で、すべての慣性系における物理法則は同形でなければならない)が統合されて、素粒子論としては、今日の基盤が出来上がってきています。

そして、量子的な考え方による応用利用も進んでいます。

これら、幽霊のような挙動を示す「素粒子」ですが、この考え方によって、現在では、原子時計や顕微鏡分野など、いろいろな分野で応用・実用化されています。

しかし、相対論が微小な世界を表現できないことと同様に、量子論では、大きな宇宙などを解明することができていないという、それぞれの理論ですべての状況を説明できない部分が現在でも残っている状態だといいます。

そのこともあって、足りない部分を補填するために、さらに色々な考え方(仮説)が乱立しているというのが現状のようです。

光は粒子であるのに質量がない?

この「光(光子)」ですが、現在のところ、質量はゼロとされています。

しかし、電子を弾き飛ばすのだから、エネルギーがあるとすると、つまりそれは、質量があることになり、そうすると、光速で進めない・・・という矛盾がでてきます。

それが現在の考え方の状況で、そこで止まっています。

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それらは、「場の理論」などでの解明が進められているようですが、難しいことはここで置いておいて、次に、光は粒子であり、それは「物質」なのかどうかというところを見てみましょう。

素粒子論では、もっともポピュラーな「標準模型(標準理論)」というものから「光」が何なのかを見ていきます。

物質という言葉を考えるときに

物質とは?」と問われると、一言で答えるのは難しいのですが、

物理的にいえば、①物体を形作るもの  ②別のものに変化できない性質を持つもの  ③質量があり、空間にあるもの・・・などで「物質」について説明されます。しかし、これでは、何か足らない感じがします。

化学的にいえば、①自然の状態にあるもの、または、②ある製造過程で得られる化学元素及びその化合物 を物質と説明されます。しかしこれでも、何か足らない感じです。

そしてそこに、「素粒子論(原子物理学)」というのが入ってきました。

ただ、このことで、さらに混乱させた感がある・・・というのが、皆さんが持っている感覚かもしれませんが、それを少し見ていきます。

 

素粒子論的には、我々が眼にしている物質のすべてが素粒子でできている・・・としています。

物質を構成する粒子(WEBの図を利用)

素粒子論で最も主流のものに標準理論(標準模型)という考え方があり、標準理論では、物質を構成するものは、この17種の素粒子から成り立っているとしています。

ここでは取り上げませんが、この他に、現在でははっきりと確定していない「重力子」という、重力を生み出す素粒子があるとされており、それが見つかった? というニュースもありますが、確定されていないようです。

もしも「重力子」などの、よくわかっていない素粒子が「実在する」と確定すれば、これらは、宇宙を作っている重要なものである可能性が高いということになるので、現在は、各国の原子物理学者や天文学者は血まなこになって、これを探している段階のようです。

この標準理論では、「重力」自体が非常に小さい要素なので、標準理論上では無視してよい という立場をとっています。 つまり、無視できるくらいに小さいということですので、ここでも、それに沿って話をすすめます。

この17種の素粒子について、この図を大雑把にわかりやすく言うと、物質は6種類のクオークと6種類のレプトンでできており、それが「物質」として存在するために、ゲージ粒子がそれらを結びつけていると考えてください。

本題の「光」は、ここにある「光子」です。

これは、標準理論で分類すると、ボソン(ボーズ統計に従う粒子)のうちの「ゲージ粒子」に分類される光子(フォトン)で、電磁相互作用(電気力・磁気力として現れる力)を媒介する素粒子とされます。

ここでは、それに触れる前に、素粒子を考えるときに必要なことに触れておきます。

現在の素粒子論の状況と問題

上にあげた17種の素粒子は、自然界で単独に存在しているものを見つけたというのではなく、宇宙線の観測加速器という人工の装置を用いて、人為的に生成反応を起こさせて発見されて研究されてきているものです。

それらの素粒子の性質を説明するのにも、いろいろな考え方があって、上の標準理論は、ゲージ場理論という「場」の考え方ですが、そこでは、量子色力学、ワインバーグ・サラム理論などを総合して、自然界にある物質を作っている3つの力「強い力・電磁力・弱い力」について説明されてきています。

(注)自然界は4つの力で構成されているとされますが、残りの力「重力」については、よくわかっていません。

ところが、ゲージ場理論は、素粒子には質量があってはいけないという考え方で構築されてきているのですが、加速器などの測定によると、クオークやレプトンに質量があることがわかっています。(素粒子全てに質量があるかどうかは研究途上です)

ヒッグス場という空間

これを解決するために、(これも研究途上ですが)「ヒッグズ場」という、標準理論の基になる「ゲージ場」ではない新しい状態を考えるとうまくいくというのです。 つまり、ヒッグズ粒子の中に宇宙全体があるとして考えると辻褄が合うといいます。

この考えをもとにして、ビックバンが起こったすぐ後に、真空の相転移が起こり、さらにその真空がヒッグス粒子に包まれたと考えると、クオークやレプトンがその中を動くときの抵抗が「質量」だと考えられます。

「光」はヒッグズ場と反応しないので、光の質量はゼロと考えても良いことになり、それによって、光子は光速で飛び回ることができるという「うまい考え方」ができるというのです。

その他の質量のある粒子では、質量があることによって、当然、その移動スピードは質量のないものと比べると遅くなるので、このような「ヒックス場という特殊な場」を考えることによって、粒子の状況が説明ができるというのです。

しかし、この17種の素粒子のヒッグズ粒子(上のヒックス場とは違います。混同しないように)は、すでに存在が確認されていますが、これが標準理論で示されているヒッグズ粒子と同じものかどうかもわかっていない状態です。(ややこしいのですが、解明途中なので、こう言える以外には仕方がない状態なのです)

ヒッグス粒子は見つかった

現在は、このヒッグス粒子は、CERNの加速器で発見されたあと、その状態(正体)が調べられている段階ですが、もしも、ヒッグス粒子が質量(=エネルギー)を持っているとすると、(実は、質量があることもわかってきていますが)宇宙の質量の23%を占めるとされているダークマター候補のひとつになるとして注目されています。

ただし、このことについても、現段階では、これ以上のことが言えません。つまり、今のところ、よくわかっていませんし、発見された内容について、「それは正しくない・・・」という意見もあって、現在は、検証段階にあるという状況のようです。

それでもよくわからないことが多い

・・・となると、このように、すべての物質(または素粒子)の状態が完全にわかっていないところを補充するために、当然、その他の、いろいろな意見や理論や考え方がでてきます。

しかし例えば、ある1つの有力な理論が発表されても、それがノーベル賞に匹敵する理論と言われるまでにもかなり年月がかかってしまうのですから、これらの意見の集約にはまだまだ時間がかかるでしょう。(今年のノーベル物理学賞の成果も、数年や十年以上前のものですから)

そうなるまでの時間(期間)に、様々な意見考え方が交錯するのは当然です。また、それら諸説との関係(正しいのかそうでないのか)を区分けしていくのは複雑で大変な作業ですし、近年では、人間が知覚できない「多次元」の話などが加わってくるなどもあって、ますます、何が何だかよくわからない「混沌とした状況」になっているというのが現状の物理学の最先端の状況のようです。

これらの中には、もちろん宇宙論に関係する考え方も多くあって、その中には、現在の標準理論などの基本理論さえも、根本的に覆すものもあるようで、極端には、アインシュタインの相対性理論が間違っている・・・という考え方もあるという状況です。(すべて仮説の段階です)

学問研究の世界では、このような諸説が交錯して混沌としているのは、困ったことではありません。これらによって科学が好ましい方向に進歩していくのですから・・・。

ただ、3次元に生きる私達が、4次元すら理解しにくいのに、超ひも理論のような10次元や11次元といった、多次元を理解するのは困難で、これらは、科学雑誌のネタ話としては結構面白く、私も大好きなのですが、興味が持てる書き方で平易に紹介される本が少ないのが残念です。

(参考)そのなかでも、BLUE BACKSから刊行されている、ピエール・ビネトリュイ著「重力波で見える宇宙の始まり」という本は、難しい内容についてもかなり読みやすく書かれていて、面白いと思いますので、ぜひ一度手にとって見てください 残念ながら、少し古いので、新刊もあまりなさそうで、古本でも見つかれば読んでみてください。

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現在はどのような理論レベルの状況になっているのでしょう?

もちろん、今まで書いてきた「標準理論でいう素粒子」以外にも、いろいろな素粒子を提唱することによって、現在の世界(宇宙全体)を解明しようとする考え方などがあります。

しかし、その理論自体も確定していなくて、百家争鳴の状態になっているのですが、例えば、何らかの理論が提唱されて、それが他者に認められる状態まで組み上げるまでには、科学者のレベルでも難しいものですから、我々一般人がそれらの考え方を平たく理解するのは、まだまだ先のことになるということになるでしょう。

・・・ということで、(横道が長くなってすみませんが) 素粒子の話はこれで一旦終わりにして、もう一度、「光」について考えてみましょう。

さて、改めて「光とは」

【性質的には】光の性質は、波であるという波動説で考えると、太陽の光や星からの光でも、プリズムで分光すると周波数があり、波長がある電磁波なので「波」の性質でほとんど「光の性質」が説明できます。

そして、光電効果や重力レンズ(星から来る光が、大きな重力を受けると曲げられる現象)などを見ると、光が粒子の性質を持っていることが説明されます。

さらに素粒子論では、光は「光子」という素粒子で、電磁相互作用を媒介するガンマ線として、いろいろな状況が説明できます。

つまり、これらで説明されるというのが「光」だということです。

光は、反射吸収などによって減衰し、消えてしまう感じを持っているのですが、宇宙全体を考えると、現在解明されていない「見えない物質(ダークマターやダークエネルギー)」の中をすり抜けてきます。

つまり、それらとは相互作用をしないもの・・・といえますので、これもまた不思議なものです。現在のビッグバン理論では、超高温の宇宙ができて、38万年経った時にようやく、宇宙全体が電離しているプラズマ状態でなくなり、その時点で、ようやく、光(電磁波)がまっすぐ進める状態になった・・・とされています。

宇宙の歴史は、その「宇宙が晴れた」以降の状態しか見えていないと表現されているのは、この理由のためです。

この痕跡が「宇宙の背景放射」と呼ばれるもので、ごく低温の電磁波が、全天方向から観測される事実から「宇宙」というものが発見されました。

そして、さらにその宇宙の大きさなどが、光の性質を調べることでわかるようになってきたのですが、波動のエネルギー(のようなもの)は、時空の広がることで「ドップラー効果」によって、その波長が極端に伸ばされことから、遠くの星の距離がわかります。

しかし、宇宙には、138億年にわたって、光が飛び交っているのですが、その長い時を経ても、その光が消えてしまわないのも大変不思議ですね。

光の発生光(光子)はいろいろな状態で発生します

発熱に伴う発光だけでなく、電荷の加速でシンクロトロン放射光を発しますし、分子・原子の遷移が低エネルギー順位になるときや、粒子と反粒子が衝突して対消滅する時にも光が出ます。

これは、粒子とも言えるし、ある種の反粒子とも言えるような感じですね。

このように、身近な「光」でさえも、素粒子の内容が充分に特定されていない状態ですので、今後も、いろいろな見方や考え方が出てきそうな気もします。

その光子が光速で進むためには「質量がない」ということになっていなければならないということを紹介しました。

しかしこれについても、厳密的には疑問が残っているようです。 しかし現在では、質量ゼロとして取り扱って問題がないという考え方が主流のようです。

このようなことから総合すると、結局、光は物質の一部で発生した電磁波で、それは、電気力や電磁力を媒介する素粒子でもあり、その周波数の特定の範囲の電磁波が可視光として人間やその他の生物に知覚されているという程度の答えになってしまうのですが、ここまでかかっても結局は大した説明しかできませんでした。(笑)

口直しに、すこしロマンチックな話題を紹介します

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宇宙からの光が全天に満ちていないのは星は無数に輝いており、それが全天にわたって輝いているのに、夜空を見上げると、小さな点の星しか見えません。

夜空が一面に明るくならないのはなぜでしょう。・・・これは「オルバースのパラドックス」と言われるものです。

これを言い換えれば、「すごい数の星が輝いていると、全天が明るく輝くはずだ・・・」というものですが、そうなっていないのはなぜでしょう・・・。???

たくさんの星のイメージ

これには色々な考え方があるようです。その中で、我々シロウトが最も理解しやすそうな説明は、「星が照らす以上に宇宙は大きい」という説明がぴったりな感じがします。

宇宙は膨張しているということですが、その膨張は「空間(時空)の膨張」なので、光の速さの制限を受けないために、光速以上に宇宙(空間)の膨張が可能というのですから、そうなれば、いつまでたっても、光が追いつけません。

だから、星のない部分は真っ暗・・・ということですが、こう書いていても、それを頭に描いてイメージするのは一般人では難しいなぁ・・・と思っています。

宇宙のロマンを感じてみましょう

宇宙はビッグバンで誕生し、膨張により次第に温度が下がって、開闢38万年後には、光(=電磁波)が分離されて、そのときの光が地球に届くことによって、138億年前ごろからの宇宙が見えているといいます。(したがって、それ以前の宇宙は調べられていません)そして、遠く離れた初期の宇宙の部分(宇宙の果て)は、空間の広がりも加わって、現在も、地球からものすごいスピードで遠ざかっているといいます。

空間が広がると、その分、遠くの星から地球への光の到達はさらに遅れます。届かないかもしれません。そして、さらに公表されている宇宙の大きさについても、新しい探査機のデータが出るたびにその数字は大きくなってきていますね。

今は、138億光年+α とも言われています。調べていくほどに宇宙の大きさは膨らんでいきそうですが、いずれにしても、わからない程、遠いところまで宇宙が広がっているのです。

そしてもちろん、たとえ、その大きさがわかっても、人はそこに行くことはできません。

138億年(時間)経った宇宙の大きさは、780億光年(距離)以上だ・・・という計算もできているようです。

人生100年時代というように、人もすごいのですが、宇宙のレベルはすごいというレベルではイメージできないほどに「すごい」ようです。

そんな広い宇宙には、たくさんの星や物質があるのですが、現在の測定では、宇宙を構成する物質の5%程度が星や銀河などの「実態のあるもの」で、それ以外は、ほとんどが、それが何なのか、全く正体がわからないブラックマターやブラックエネルギーだといいます。

現在のところ、光は質量がないとされているので、科学者は、宇宙を構成する未知の物質が何なのかを探っている状態ですが、光の振動や速度が、エネルギーや質量などと等価と考えれば、真空などの何もないようなところから、何かのエネルギー変換によって、「何もないとされていたもの」が宇宙を形作る物質だと言われないとも限りません。(この「真空の持つエネルギー」が見えない物質だという考え方は、かなり支持されているようです)

大きな側に位置する「宇宙」もそうですが、その反対の「極微(ミクロ)」の世界も、量子論や原子物理学によって、この100年程度の間で急速にわかってきたという状況で、さらにさらに・・・「わからないことだらけであるというのが分かってきている状態」にあるといえるのかもしれません。

宇宙全体は「未知」で満ち満ちている・・・というダジャレもいいたくなるぐらい、わからないことだらけですが、今回は多くの物理理論のもとになっている「光」を取り上げました。

光は波であり粒子の性質を併せ持っているという内容でしたが、ここで、上に掲載した海の波の写真を再掲します。この波の見方も変わりませんか?

波のイメージ

聖書には、神様が「光あれ」と言ったら、光が出て来た・・・と書いてあるようです。ふと立ち止まって、身近に光を見つめる機会があれば、ぜひ思いを巡らせていただければ幸いです。


(来歴)R5.2月に誤字脱字を見直し  R6年4月に見直し